尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「屈辱外交」という非難を甘受してまで改善したとされる韓日関係が、日本で圧倒的なユーザー数を持つメッセンジャーアプリ「LINE」をめぐる「LINE問題」で揺らいでいる。日本政府がネイバーのLINE経営権を脅かす行政指導を行うことになった背景に、これまでの対日「低姿勢外交」の影響があるのではないかを、尹政権は省みる必要がある。日本にも、韓日関係の安定的発展のために賢明な選択を下すことを望む。
韓日関係に大きな負担を与えているLINE問題は、昨年11月にLINEの運営企業であるLINEヤフーのサーバーが攻撃を受け、約44万件(合計52万件)の個人情報が流出する事件が発生したことで始まった。日本の総務省は3月5日と4月16日にLINEヤフーに下した2回の行政指導で「ネイバー社側から資本的な支配を相当程度受ける関係の見直し」を要求した。現在、ネイバーと日本企業であるソフトバンクは、LINEヤフーの株式の64.4%を保有する持ち株会社Aホールディングスの株式を50%ずつ保有している。日本政府が乗り出し、ソフトバンクにLINEヤフーを「単独経営」するよう事実上の指示を出したわけだ。ネイバーのチェ・スヨン代表も3日に「資本支配力を減らせという要求は異例」だと述べた。
日本は先月16日に発表した今年の「外交青書」で、「重要な隣国」である韓国とは「多様な分野で連携や協力の幅を広げ」ていくことを明らかにした。一方では友好と協力を叫び、他方ではその象徴であるネイバーとLINEヤフーの関係を断ち切ろうとする二重の態度を示しているといえる。
尹政権は昨年3月、両国間での最大懸案だった強制動員被害者への賠償問題を解決するとして、一方的な譲歩案を出した。その直後に両国は2019年に実施されたホワイト国(輸出手続きの簡略化など優遇を受ける国)からの排除措置を解除し、原状回復した。しかし当時の措置は、日本が韓国を先に攻撃した典型的な「経済的威圧」であり、安倍晋三元首相も死後に出版された回顧録で、この決定が韓国の最高裁判決に対する報復だったと認めている。日本が先に遺憾の意を表明して先制対応しなければならなかったにもかかわらず、逆に被害者である韓国が世界貿易機関(WTO)への提訴を撤回するなどで先に折れた。これをみた日本が、尹大統領がいる限り、韓国に多少無理を通しても大丈夫だと誤解したのではないのか。
韓日関係の健全な発展のためにも、尹政権はこれまで明らかになった対日外交の様々な問題点を改めて振り返らなければならない。日本は自身が発した言葉を守ってほしい。「多様な分野で連携や協力の幅を広げる」のではなかったのか。