韓国でいわゆる「ビッグ5」と呼ばれる5大上級総合病院の専攻医(インターンとレジデント)は、政府による医学部増員推進に反発し、20日から勤務を中止する計画だ。医学部増員政策が発表される度に、医師団体の大義なき無責任な集団行動が繰り返されている。医師は国民の命と健康を最優先に考えるべきだ。またしても患者を人質にして集団の利益を最大化しようというのか。
大韓専攻医協議会は16日、5大病院ビッグ5の専攻医が19日までに全員辞表を提出し、20日午前6時から病院勤務を中止すると発表した。5大病院はソウル大学、セブランス、サムスンソウル、ソウル峨山(アサン)、ソウル聖母の各病院のことで、専攻医が多い病院はその割合が40%に迫る。各病院が人件費水準の低い専攻医への依存度を高めてきたせいで、彼らは救急室や手術室などの第一線の医療現場の必須人材として働いている。そのため、専攻医の集団行動は深刻な診療の空白へとつながる可能性が高い。ビッグ5だけでなく、円光大学病院などの10病院の235人の専攻医は、すでに辞表を提出したという。集団辞職が拡大する恐れがあるということだ。「2022医療給与統計」によると、11万2321人いる医師のうちインターンは3137人、レジデントは9637人にのぼる。
専攻医たちは2020年にも、集団休診で政府の医学部増員政策を完全に無力化させた。救急患者が診療の受けられる救急室を見つけられず、ゴールデンタイムを逃すということまで発生したが、気にもとめなかった。医師を増やし、必須・地域医療の崩壊を防ごうという政策が、診療を中止し、患者を危険な状況に陥れるほど反対すべきものなのか。そのうえ、専攻医たちは週80時間以上の劣悪な勤務環境の改善を要求しながら、肝心の医学部増員は受け入れられないという矛盾した態度を取っている。「科学的で合理的な根拠にもとづいて、医師人材の増員と減員を同時に論じなければならない」というのだが、この間の医政協議で国策研究機関による推計さえも信頼できないとしてごねていたのは、他ならぬ医師団体の方だ。医師を1人でも増やすためには医師の許可を得なければならないということこそ、非科学的で非合理的ではないか。
政府も以前のように専攻の集団行動に屈服することがあってはならない。2020年の集団休診事態で、政府は業務開始命令に背いた10人の専攻医と専任医を告発したが、後に取り下げた。このような前例があるせいで、医師たちは「政府は医師に勝てない」と脅してすらいる。対話の扉は開いておくにしても、無分別な集団行動によって国民が被害を受けることのないよう、徹底して備えるべきである。