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[寄稿]ドイツで繰り広げられた韓日歴史戦争

登録:2023-10-31 07:51 修正:2023-10-31 08:43
[世界の窓]ハンネス・モスラー(カン・ミノ)|ドイツ・デュースブルク・エッセン大学政治学科教授
ドイツの団体「右翼に反対するおばあさんたち」の会員が2021年2月19日(現地時間)、ベルリン・ミッテ区にある平和の少女像の前で極右の暴力に抗議し犠牲者を追悼する演説をしている=ベルリン/ハン・ジュヨン通信員//ハンギョレ新聞社

 数年前、唐突に5人の日本の教授から奇妙な電子メールを受け取ったことがある。後で分かったが、筆者だけでなく他の多くのドイツの教授にも同じ電子メールが送られていた。その内容は、第2次世界大戦当時、ドイツと日本が戦争犯罪を犯したというのは嘘であり、この歴史歪曲を正さなければならないという、とんでもない主張だった。当時、ドイツと日本はともに力を合わせて戦ったが、国連から戦争犯罪というレッテルを貼られ犠牲になったと言い張れば、ドイツの知識人たちに受け入れられるはずだと考えたようだ。

 日本社会には、日帝と第2次大戦当時に犯した反人道的な犯罪を隠して自国の歴史を書き直そうとする反動的な過激主義勢力がいるということは、筆者も十分知っていた。だが、ナチの蛮行という歴史的事実を否定しろとか、自分たちのゆがんだ歴史修正主義に同調せよというような話にならない主張に直に接して、改めて驚かされた。高等教育を受けた恥知らずな人たちのあわれな自画像だ。

 当時、5人の日本の教授がドイツの教授に電子メールを送った真の理由は、2020年9月末にベルリンに建てられた「平和の少女像」を撤去せよと扇動するためだった。数多くの少女と女性たちが、当時の日帝によって体系的かつ大規模に強制的な性暴力と殺人の被害を受けた戦争犯罪を想起させるベルリンの少女像は、こうした人たちにとっては邪魔なもののように感じられたのだろう。こうした人たちが、少女像を建てた市民活動家らを反日だとか親北朝鮮だといって罵る理由も、まさにここにある。

 ドイツで韓日の歴史認識戦争を起こそうとする闘士は、こうした日本の右派の教授だけではない。日本の岸田文雄首相も、ドイツのオラフ・ショルツ首相に平和の少女像の撤去を2回も要求するほど執拗だった。

 日本の右派はともかく、一部の韓国人もこうした深刻な歴史歪曲に同調しているという事実は、本当にショックなことだ。いわゆる「母親部隊」を筆頭とする韓国の右翼反動活動家たちは、昨年ドイツにやってきて、ベルリンの現地で少女像の撤去を要求するデモを行った。これらの人たちも同様に、「日本軍慰安婦」の強制売春は事実ではなく、そうした女性たちは戦争中の性的奴隷の被害者でないと強弁するなど、日本の教授らと同じような論理をドイツの国民と政府に表明した。

 もちろん、過激主義勢力はどの国にもある程度は存在する。健康な人間の体であれば、腐った食べ物を少し食べたとしても胃液の中の酸や腸内細菌によって分解されるように、健全な民主社会であれば少数の過激主義者によって揺らぐことはない。

 だが、影響力の大きい政治勢力が歴史修正主義に加担するとなると危険になる。こうした点から、現在の韓国政府のもとで広がっている歴史修正主義の動きには、強く懸念せざるをえない。反人道的な犯罪や人権蹂躪(じゅうりん)を全面的に否定した事例はまだないが、大韓独立軍の洪範図(ホン・ボムド)将軍の銅像を廃棄し(cancelling)、日本による植民地時代における強制徴用問題や「日本軍慰安婦」問題を覆い隠して韓日関係の暗い過去を片付けようとする(Schlussstrich ziehen)姿勢は、十分に深刻なことだ。また、そうした政策を批判する人を、いわゆる「共産全体主義勢力」として攻撃するなど、冷戦期のマッカーシズムの方式で表現の自由を抑圧し、国民に歴史の美化を強要する雰囲気が醸成されるのもきわめて心配だ。

 それでも、韓国社会は決してそのような一部の政治家のゆがんだ歴史修正主義の試みに振り回されないことを確信している。なぜならば、そのような時代はすでに過ぎ去り、目覚めている韓国市民は、退行的かつ古びた政治家階級よりはるかに先んじているからだ。そして、ベルリンをはじめとする世界各地に建てられた少女像が自分の場所を黙々と守っているのは、世界中の人たちもこのような批判的な歴史認識という常識と連帯し、ともに守っていることを意味するからだ。

//ハンギョレ新聞社

ハンネス・モスラー(カン・ミノ)|ドイツ・デュースブルク・エッセン大学政治学科教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1114075.html韓国語原文入力:2023-10-30 02:06
訳M.S

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