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[特派員コラム]日本の汚染水放出に対する韓国・中国の大きな違い

登録:2023-08-25 06:30 修正:2023-08-25 08:05
日本が福島原発汚染水の海洋放出を始めた24日午後、仁川市中区の仁川総合魚市場で、中国中央テレビ(CCTV)が福島原発汚染水の海洋放出の開始と関連した取材を行っている/聯合ニュース

 「韓国政府は日本が福島原発汚染水を海に捨てることに本当に賛成なのか?」

 ある中国人の友人が聞いてきた。「そのようだ」と答えると、すかさず「なぜなのか」という質問が返ってきた。一言では答えられなかった。韓米、韓日関係などに対する尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の最近の政策などについて説明したが、友人はなかなか納得できない様子だった。たとえ複雑な政治・外交的事情があるとしても、国民の健康に直結する汚染水の放出問題を、日本と最も近い国である韓国が賛成するのは理解に苦しむということだった。

 中国人に韓国の政治・社会問題について説明するのは容易ではないが、福島原発汚染水問題は特に難しいテーマだ。韓国政府が主張する科学的な根拠の他に、米国との関係を最優先視して日本との関係改善を進め、中国封鎖の第一線に立とうとする尹錫悦政権の複雑な外交的立場についても説明しなければならないためだ。細かく説明したからといって、それがすぐに理解につながるわけでもないが。

 何より中国の友人の理解を妨げる原因は、この問題に対する韓中政府の態度には気が遠くなるほどの違いがあるからだ。日本が22日、福島原発汚染水を近日中に海に放出することを決定したことを受け、これまで一貫して反対の立場を取ってきた中国政府は駐中日本大使を呼び出し、強く抗議した。中国外務省報道官は記者会見で「人類の福祉より自国の利益を重視した利己的な決定」だとし、「海洋環境と食品安全、公衆保健を守るためのすべての措置を取る」と述べた。日本産の海産物に対する輸入障壁をさらに高めることを含め、より多くの措置を取るという内容だった。香港も同日、「24日から日本の10県からの海産物の輸入を中止する」と発表した。

 一方、韓国政府の態度は日本と最も近い国で、三面が海に囲まれており、水産業が主要産業の一つである国家の政府の反応とは思えないものだった。政府は同日の記者会見で、「放出計画上の科学・技術的問題はないと判断した」という曖昧な表現で、事実上日本政府の汚染水放出に賛成した。その一方で、「(汚染水の放出を)賛成したり、支持するわけではない」と付け加えた。汚染水の放出に事実上賛成しながらも、賛成するとは直接言わないということだ。反対世論を意識した卑怯な態度と言わざるを得ない。

チョ・スンファン海洋水産部長官がノ・ドンジン水協中央会長などと24日、ソウル鷺梁津水産市場を現場視察し、商人たちを励ますとともに、アワビを購入し試食している/聯合ニュース
2023年8月24日、北京の卸売水産市場で、卸売業者が客を待っている。中国は8月24日、日本政府が福島原発の廃水を「利己的」に放出したとの理由で、日本の海産物の輸入を禁止した=北京/AFP・聯合ニュース
19日、香港駐在日本総領事館前で、福島原発核汚染水の海洋放出に反対するデモの途中、あるデモ参加者が国際原子力機関のラファエル・マリアーノ・グロッシ事務局長の写真が貼られたプラカードを拳で叩いている=香港/AP・聯合ニュース

 不幸中の幸いは、多くの国民と野党が日本の汚染水の放出に強く反対していることだ。全国で187万人の市民が汚染水の放出に反対する署名に参加した。中国の友人には「韓国国民まで汚染水の放出に賛成しているわけではない。200万人近い人々が反対署名を行った」と伝えた。汚染水の放出は世論よりも科学的根拠を掘り下げて考えるべき問題だという主張には同意するが、韓国政府は科学的根拠をきちんと検証する姿も見せなかった。

 中国政治と韓国政治のうち、どっちがマシだろうか。一考の価値もないと思っていた質問だが、尹錫悦政権が発足してからはたびたび頭をよぎる。世論に逆行する行動をかなり取っているという点で、両国政府が共通するのも最近よくあることだ。それでも中国より韓国がマシなのは、今すぐ世論に逆行する政府を止めることはできなくても、今後これを正す可能性は高いという点であろう。

チェ・ヒョンジュン|北京特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1105713.html韓国語原文入力: 2023-08-25 02:36
訳H.J

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