ベトナム戦争中の韓国軍による民間人虐殺と、韓国政府の賠償責任を認めた初の判決が、7日に下された。参戦した戦争において韓国軍が反人道的犯罪である民間人虐殺を犯したということは、認めるのに苦痛が伴い、国際社会と歴史に対して恥ずべきことだ。司法府がその実体的真実を確認したのは勇気ある歴史的告白であり、人権国家として大きな一歩を踏み出すものだ。
ソウル中央地裁は、1968年2月にベトナムのクアンナム省フォンニィ・フォンニャット村で韓国軍が70人あまりの民間人を虐殺した事件で、家族を失い自らも重傷を負ったとして、当時8歳だったベトナム人のグエン・ティ・タンさんが大韓民国を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、原告勝訴の判決を下した。同地裁はベトナム戦争参戦軍人や現地の民兵らの証言をはじめとする様々な証拠を審査し、グエン・ティ・タンさんの主張の大半を認め、「このような行為は明白な違法行為に当たる」と述べた。
韓国軍のベトナム戦争における民間人虐殺問題は、2000年代初めに「ハンギョレ21」の報道で本格的に提起され、その後、具体的な事実が明らかになっていった。市民団体が事実を認めて被害者に賠償するよう政府に求めたが、政府は全面否定していた。2020年にグエン・ティ・タンさんが訴訟を起こしてからも、証拠がないとか、当時のゲリラ戦の特性上、正当な行為だったなどの理由をあげて責任を否定した。司法府の判決を通じてではあるが、国の名において事実関係と責任を認めたのは意味あることだ。裁判所は、損害賠償は時効が成立しているとする政府側の主張に対しても「訴訟を提起する時期まで、客観的に権利を行使しえない障害事由があった」とし、「時効完成の主張は権利の乱用に当たる」と判断した。
韓国は日帝強占期に日本軍「慰安婦」や強制徴兵・徴用などの反人道犯罪の被害にあった悲劇的歴史を持っている。日本政府に対してこれらに対する謝罪と賠償を要求しながら、韓国が加害者である事案に対しては沈黙すれば、二律背反だとの指摘は避けられない。特に今回の判決で裁判所は、ベトナム・韓国・米国間の約定書などによればベトナム人が韓国の裁判所で訴訟を起こすことはできないとする政府側の主張に対して「個人である原告の請求権を妨害するという法的効力を持つと考えることは困難」だと述べた。日本政府が1965年の韓日請求権協定や2015年の韓日外相合意で「慰安婦」や強制徴用問題などは解決済みだと主張していることに対する、正確な反論であるわけだ。
ベトナムは昨年、韓国が最大の貿易黒字を出した交易相手であり、移住労働や結婚などで密接な関係を結んで久しい。かつて銃口を向けた痛ましい歴史を克服し、未来志向的な友好・協力の地平を広げてゆくべき国だ。今回の判決を機として、政府レベルでも前向きな態度を示してほしい。