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[社説]「強制動員被害者を無視するな」、日本の市民たちの呼びかけ

登録:2023-01-17 06:37 修正:2023-01-17 07:08
「世界」の岡本厚元編集長、作家の中沢けい氏、「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」の矢野秀喜事務局長(左側から)が16日、東京千代田区の衆議院会館で強制動員問題について記者会見をしている=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 韓日両政府は、強制動員の被害補償問題を急いで決着させ、「韓日関係正常化」を宣言しようと速度を上げているが、「拙速解決策」に対する両国世論の懸念が高まっている。16日には日本の市民社会が“被害者を冷遇する解決策”に反対する共同声明を発表した。数十年間、両国関係の改善のために努力してきた人々が、なぜ「日本企業の謝罪と賠償」が抜けた案を懸念するのか、韓日両政府は耳を傾けなければならない。

 東京大学の和田春樹名誉教授ら日本の学者、弁護士、言論人、市民社会の要人94人は、16日に発表した声明で「当の被告企業は謝りもせず、償いとしては一円のお金も出さない方向でまとめられつつあります。これでは解決とは呼べません」とし、日本の政府と企業が謝罪と賠償に積極的に乗りだすよう求めた。12日に韓国外交部が、韓国企業から資金を集めて日本の被告企業の代わりに被害者に賠償する案を公式化したことに対し、被害者を支援してきた日本の市民社会が問題を強く提起したのだ。これらの人々は、数十年以上戦ってきた被害者が受けいれることができない解決策は解決策ではないと強調した。

 韓日両政府は、2018年に日本企業が賠償金を支払うよう命じた韓国最高裁の判決をめぐり、韓国企業の資金で代わりに賠償すれば、日本が2019年に韓国に課した輸出規制を解除し、過去の日本政府の談話を再確認することで、早急に強制動員問題を終える案を議論中であることが分かった。

 両国政府がこのように急ぐ背景には、韓国・米国・日本の安全保障協力問題がある。韓国政府は、今春までに強制動員解決策を発表した後、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の日本訪問を経て、3カ国の協力に向け速度を上げようとしている。日本の岸田文雄首相も13日の米国での演説で「できる限り速やかに日韓二国間の懸案を解決し」、「(北朝鮮の)脅威に直面する中」、「(韓米日)3カ国間の安保協力を強化」していくと強調した。

 安全保障の状況に対応した韓米日の協力も必要だが、韓国は明確な原則を守らなければならない。複雑に歴史と政治が絡みあう過去の問題を拙速にくつがえしていくのであれば、深刻な逆風を呼ばざるをえない。数十年の間、被害者たちが要求してきた日本の加害企業の心からの謝罪は、最小限の要件だ。

 「日本政府は『過去に謝罪したのだから、それでいいのではないか』と言ってはならない。真の謝罪は、事実を認め謝罪と補償を行い、繰り返さないよう努力することだ」。この日の記者会見で「世界」の岡本厚元編集長が述べた苦言を、韓日両政府は無視してはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1075926.html韓国語原文入力:2023-01-17 02:40
訳M.S