梨泰院(イテウォン)惨事犠牲者のための国家哀悼期間が5日午前0時に終わった。これからは惨事の原因と対応過程の誤りなどを総体的に指摘する国会国政調査と責任者問責に乗り出さなければならない。しかし、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、イ・サンミン行政安全部長官とユン・ヒグン警察庁長官に対する問責と更迭には言及すらしていない。与党「国民の力」は、警察の捜査の妨げになるという納得できない理由を挙げて国政調査を拒否している。惨事発生から1週間が過ぎたのに、責任逃れと回避を繰り返しているだけで、心から責任を果たそうとする姿勢は見当たらない。
ハン・ドクス首相は6日、中央災害安全対策本部会議を主宰し、「10日から大衆利用施設などに対する『関係機関合同緊急安全点検』を1カ月間実施する」と発表した。事故発生の危険性が高いところを見つけ、防備を急ぐことは必要なことだ。しかし、今より切実で優先的に進めるべきなのは、156人の命を奪った事故の原因究明と責任追及だ。
そのため国政調査が必要だという世論と野党の要求に対し、国民の力は「捜査の妨げになり、論点を曇らせるだけ」(チュ・ホヨン院内代表)だとして反対している。しかし、犯罪を暴く捜査とは異なり、国政調査では事案の全貌を明らかにするために、より広範囲な調査が行われる。2016年の国政壟断疑惑の真相究明のため、国政調査が検察および特検捜査と同時に進行されたのもそのためだ。当時、国政調査に賛成したセヌリ党所属議員の相当数が、現在国民の力の所属なのに、このような理由を掲げるのは非常に苦しい言い訳と言わざるを得ない。
イ・サンミン長官とユン・ヒグン長官の更迭をためらう理由も納得できない。警察指揮部の誤りを警察自ら捜査する「内部捜査」も信頼性を疑われているが、ユン長官とイ長官が指揮系統に留まっているのはそれ自体が捜査を妨害する要因になる。このような状況がよほどもどかしかったのか、国民の力の内部からも「野党と国民の非難の対象になった人々は早急に整理しなければならない」(ホン・ジュンピョ大邱市長)、「(イ長官らは)自ら決断を下さなければならない」(ソ・ビョンス議員)といった声が上がっている。
尹大統領は7日、「国家安全システム点検会議」を主宰する。国政調査を拒否し、問責更迭もせず、このような会議を開いても「見せかけ」という批判を招くばかりだ。手遅れになる前に大統領と与党の決断が必要だ。機を逸して「今日の一針 明日の十針」になった事例は過去あまりにも多い。