韓米合同空中演習「ビジラントストーム」が、米国の戦略爆撃機B1B「ランサー」までもが参加した訓練を最後に終了した。韓米の国防相は、北朝鮮の核の脅威に対応するため、米戦略兵器の展開などの拡大抑止の強化を内容とする共同声明を採択したが、北朝鮮が核を使用すれば「金正恩(キム・ジョンウン)政権の終焉を招くだろう」という文言まで盛り込んだ。核保有国としての地位を既成事実化しようとする北朝鮮と、韓米の拡大抑止の強化が真っ向から対立する、危険な「緊張の常時化」が憂慮される。
今回の演習最終日の5日には、米空軍の戦略爆撃機B1Bが朝鮮半島に飛来し、韓国の戦闘機とともに合同演習を実施した。米国の戦略爆撃機の中で最も速く、最も多くの爆弾(約60トン)を搭載できるB1Bの朝鮮半島への展開は、2017年12月以来だ。この日、北朝鮮は西海(ソヘ)上に短距離弾道ミサイル4発を発射することで反発した。先月31日に始まり5日に終わった演習の期間中、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含む35発のミサイルを東海(トンヘ)と西海に発射することで、前例のない高強度の武力示威を行った。北朝鮮が異例の強い挑発を行い、そのたびに韓国も直ちに真っ向対応したことで、偶発的な衝突の懸念も高まった。
これについて韓米は、3日(現地時間)に行われた韓米安保協議会(SCM)で、米国の戦略兵器の適時展開や合同演習の強化などによって北朝鮮に対する抑止力を強化すると表明した。両国は共同声明で「米国や同盟国、友好国に対する(北朝鮮の)戦術核を含むいかなる核攻撃も容認できず、それは金正恩政権の終焉を招くだろう」と述べた。北朝鮮に対する警告の意味が込められているが、北朝鮮を過度に刺激する恐れがある。
今回の韓米演習は終わったものの、朝鮮半島をめぐる緊張は長期化する兆しを見せている。北朝鮮の核とミサイルの高度化、米中対立の下、朝中ロの戦略的密着によって朝鮮半島の安保状況は根本的に変化した。北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射を論議するために4日に召集された国連安保理会議も、中国とロシアの「北朝鮮援護」の中で何の成果もなく終わった。韓国の安保は根本的ジレンマに直面しており、容易な解決策は存在しない。韓米による拡大抑止の強化という対応策は不可避だが、それだけではこの危機は解決できない。強対強で対決すればするほど状況はよりいっそう厳しくなり、偶発的衝突の危険性も高まらざるを得ない。状況を慎重に管理しつつ、長期的に複合的戦略と外交を展開していくという政府の役割がはっきりと見えてこない。