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[社説]「米国第一主義」に対応する新たな通商政策を

登録:2022-09-13 02:55 修正:2022-09-22 07:06
米国のジーナ・レモンド商務長官が6日、ホワイトハウスで半導体補助金政策についてのメディアブリーフィングを行っている=ワシントン/ロイター・聯合ニュース

 米国の「インフレ抑制法」の施行により補助金の支給対象から外された韓国製電気自動車(EV)に対する差別問題を解決するため、韓国と米国が2国間協議体を設けることを韓国政府が8日に明らかにしたが、実質的な解決策ははるか彼方にある。米国が半導体やバッテリーなどの先端技術のサプライチェーンを自国中心に再編する政策を加速していることで、韓国企業や韓国への投資を考慮していた外国企業が米国へと向かう流れもはっきりしてきている。「米国第一主義」によって韓国が被る被害を総合的に考慮した通商戦略が急がれる。

 6月、米国のジーナ・レモンド商務長官が、韓国に対する7兆ウォン(約7250億円)規模の投資を検討していた台湾の半導体企業グローバルウェハーズを説得し、米国に投資させたことを最近の「ウォール・ストリート・ジャーナル」のインタビューで明らかにしたことは象徴的だ。「韓国の工場建設コストは米国の3分の1」と述べていた台湾企業に対して、レモンド長官がそれに見合うようコストを減らすと提案し、結局はテキサス州に新規工場を建設させたというのだ。ジョー・バイデン大統領も5日(現地時間)の演説で「全世界のメーカーが米国にやって来つつある」とし、韓国企業が米国に大規模な投資を行ったことを自身の代表的な政治的業績として掲げた。

 米国が中国との競争を繰り広げる先端技術分野において自国企業を支援し、海外企業の工場を米国に吸収する戦略を本格化させていることで、今や韓国などの同盟国が被る被害は現実のものとなりつつある。米国の政策に沿ってサムスン電子、SK、現代自動車などが数十兆ウォン規模の米国への投資を発表したことで、国内製造業の空洞化や雇用を憂慮する声があがっている。一方では、「北米で最終組み立てを行わなければならない」という法の規定のせいで、韓国製のEVには補助金が下りなくなるとともに、米国の資金の支援を受けて工場を建てる半導体企業は10年間にわたって中国での先端工程施設の建設はできないとする規定があるため、韓国企業は「進むことも退くこともままならない」状態に陥っている。

 政府は今回の補助金対象からの韓国製EVの除外を、「米国第一主義」という挑戦に対応し、韓国の通商戦略を新たに整える契機とすべきだ。先端技術と市場の必要性を考慮し、米国と協力すべき部分は協力するにしても、韓国の競争力強化や雇用拡大などをまず考慮して対策を講じなければならない。負担は同盟国と分かち合おうとしながら利益は独占しようという米国の動きに対しては、欧州や日本などと協力し、明確かつねばり強く問題を提起していく必要がある。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1058104.html韓国語原文入力:2022-09-08 18:08
訳D.K

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