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[社説]「検察直轄統治」の懸念高める「尹錫悦系」の検察総長候補

登録:2022-08-19 05:36 修正:2022-08-19 07:39
尹錫悦政権の初代検察総長候補に指名されたイ・ウォンソク最高検察庁次長検事が18日午後、ソウル瑞草区の最高検察庁で感想を述べている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が18日、新政権初の検察総長候補としてイ・ウォンソク最高検察庁次長検事を指名した。キム・デギ大統領秘書室長は指名を発表しつつ、「(イ候補は)バランスの取れた視野で検察庁をうまく率いてくれるものと判断している」と述べた。しかし、尹大統領が最側近のハン・ドンフン法務部長官を通じてすでに「検察直轄」体制を構築しているため、イ候補者が検察の中立性と独立性をきちんと守れるか疑問に思われるのは事実だ。

 イ候補は尹大統領が検察総長として在職していた時期に、主要な参謀である最高検察庁企画調整部長を務め、尹大統領を至近距離で補佐した。検察内の「尹錫悦ライン」の一人に数えられる。イ候補者については、5月の前任のキム・オス検察総長の辞任後、総長職務代行として検察組織を安定的に導いてきたとの評価もあるが、別の見方をすれば「総長飛び越し」批判を呼んだハン・ドンフン長官の「直轄統治」の一助となったという評価も可能だ。これこそ、イ候補者が「外圧」に抗して決断力をもって検察の独立性を保っていけるか憂慮される背景だ。

 イ候補はこの日の大統領室の指名発表後、記者団に対し、「(検察の独立性と中立性についての)懸念はよく分かっている。この価値を大切に守るよう努める」と述べた。しかし、大統領の「腹心」であるハン・ドンフン長官がすでに3回の検察人事を通じて検察の主要職務を「尹錫悦師団」の検事で埋めている状況においては、新任総長の身動きの幅は明らかに狭い。これまで検察の内外から、誰が総長になっても「植物総長」になるだろうとの懸念の声があがっていたのには、それだけの理由がある。イ候補は総長職務代行としてハン・ドンフン長官と人事について協議してきたため、問題はないとの指摘もあるが、総長候補の一人である同氏が任命推薦権者である長官と対等な立場で協議したと信じる人は多くないだろう。

 現在、検察は前政権を狙った捜査を複数件進めている。キム・ゴンヒ女史が関与したドイツモーターズ株価操作事件は進展がない状態である一方、前政権に対する捜査では速攻を繰り広げているという視線は強い。「検察共和国」に対する懸念が非常に強いため、検察の政治的中立に対する総長の意志はいつにも増して重要だ。新任総長の指名をめぐり「政権の検察直轄体制の完成」という冷たい評価が出てくる理由を、イ候補は深く胸に刻まなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1055314.html韓国語原文入力:2022-08-18 18:54
訳D.K

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