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[社説]韓国で1回目接種率70%達成を超え「秋夕防疫」に全力集中を

登録:2021-09-12 19:52 修正:2021-09-13 09:08
秋夕連休を1週間後に控えた12日、慶尚北道尚州市内に尚州市災害安全対策本部が製作した「故郷訪問自制」の垂れ幕がかかっている/聯合ニュース

 12日に伝えられたある自営業者の残念なエピソードは、新型コロナ時代の悲劇をそのまま見せてくれる。聯合ニュースの報道によれば、ビアホールから始めて20年以上にわたり誠実に店を営んできた50代の自営業者が、新型コロナのために家賃や職員の月給を払えない状況に追い込まれ、自ら命を絶った。故人は亡くなる前に住まいだったワンルームを明け渡し、知人に金を借りて職員に最後の月給を渡した。普段から職員の福祉に努力してきた故人の葬儀場には、それまで苦楽を共にした人々の足が絶えなかったという。自営業者の被害補償のための努力と日常回復の至急さを改めて痛感する。

 新型コロナ克服の土台であるワクチン接種率が無難に目標に近づいているという点は不幸中の幸いだ。12日0時現在で、1回目の接種者は合計3313万333人で、全人口の64.5%に達した。韓国より先行して接種を始めた米国や日本を超える数値だ。今の接種傾向が続けば、政府が目標にした秋夕(チュソク、旧暦8月15日、今年は新暦9月21日)の連休前に1回目の接種率70%が達成されるとみられる。だが、2回目の接種など接種を完了した人は合計2003万6176人で、全人口の39%にとどまる。政府は接種完了率も9月中に50%に接近するとみているが、接種をいっそう速めるための努力が必要だ。

 接種数は増えているが、感染の拡散傾向は依然として続いている。特に首都圏では、先週の一日平均新規感染者数が1234人で、過去最高値を記録した。韓国国内の新規感染者は、首都圏の比重が最近3日間は74%台に達している。秋夕の連休が近づく中、首都圏から非首都圏に感染が拡散する可能性に徹底的に備えなければならない。今回の秋夕には接種完了者を含む私的な集まりが8人まで許されるなど、ソーシャル・ディスタンシングの強度が調整され、過去の名節とは異なり伝播力の高いデルタ変異株が広がっている状況だ。帰省を最小化し、連休中も防疫規則をしっかり守るということは、いくら強調してもしすぎることはない。

 政府は今月20日頃まで一日の新規感染者が2000~2300人で頂点に達し、その後は減少傾向に転じるとみている。これは、もちろんワクチン接種が円滑に進行され「秋夕防疫」に成功するという前提の下で可能だ。そうなれば私たちも「ウィズコロナ」(新型コロナとの共存)にさらに一歩近付けるはずだ。新型コロナで苦しむ隣人たちの苦痛を思い起こし、日常回復のための最後の峠に全力をかたむける時だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1011398.html韓国語原文入力:2021-09-12 18:47
訳J.S

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