いわゆる「ドゥルキング・コメント操作事件」と関連して、キム・ギョンス慶尚南道知事が21日、最高裁で懲役2年の確定判決を受けた。「ドゥルキング」ことキム・ドンウォン氏との共謀関係が司法的に確定されたのだ。事件が水面で浮上してから4年4カ月後のことだ。これによりキム知事は知事職を喪失し、ただちに収監される。キム知事は判決後、「真実はいくら遠くに投げても元の場所に戻ってくるという信頼を、最後まで手放さない」と潔白を繰り返し主張した。しかし、今回の判決で重視しなければならないのは、キム知事個人の身の上だけではない。選挙民主主義と世論政治が直面する極めて脆弱で危険な環境にいかに対処するのか、熟考するきっかけにしなければならない。
最高裁2部(主審イ・ドンウォン最高裁判事)はこの日、キム知事がドゥルキングことキム氏らからコメント操作の計画の報告を受け承認した疑い(コンピューター等障害業務妨害)を有罪と認定し、懲役2年を宣告した原審を確定した。一審から三審まですべての裁判部が罪質まで一貫して判断したという点で、重く受け入れなければならない。ドゥルキングのメンバーに公職を提案したことが地方選挙に関連しているとみなすには証拠が足りないとし、公職選挙法違反の容疑には無罪判断を下した原審を維持したが、公職を提案したこと自体は事実と認めた。
ドゥルキング事件の全体の経過をみると、民主主義の基本秩序を脅かす行為が政界の外郭でも激しく行われていることがわかる。インターネットの経済オンラインカフェの集まりに過ぎないドゥルキングのグループは、コメントの順位を操作するためのプログラムを開発し、組織的に動き、有力な大統領候補の側近に近づき公職の取引まで試みた。自分たちが望む公職が得られないとなると、インターネット空間で“逆工作”を展開する大胆さも示した。故ノ・フェチャン議員が悲劇的な最期をとげたのも、これらに直接関連している。
ドゥルキングのグループは、情報通信技術(IT)を犯行に利用した。口コミに依存するのとは比べ物にならないほど伝播スピードが速く、通達範囲も広い。民主主義が、インターネットとSNS経由で伝わる「フェイクニュース」の脅威に日常的にさらされているということだ。このような環境をただす責任は、誰より政界にある。今回の判決には、フェイクニュースをほう助すると逆に害が自分に返ってくることになるという警告も含まれている。
ソウル市長と釜山(プサン)市長に続きキム・ギョンス知事まで、与党所属の広域自治体の首長が自らの不正のために任期途中で退出するのは、これで3人目だ。共に民主党は「残念ではあるが、最高裁の判決を尊重する」と明らかにした。骨身にしみた自省が求められる。