「宗教的理由」ではなく「個人的信念」により現役の軍服務を拒否した良心的兵役拒否者に、最高裁(大法院)が初の無罪確定の判決を下した。最高裁は、性的マイノリティとして男性性を強要する画一的な集団文化に反感を感じ、戦争・暴力反対デモに参加し非暴力・平和主義の良心を形成した結果、軍隊体制を受け入れられなくなったという被告人の入営拒否理由を認めた。良心の自由の範囲を広げた意味ある判決だ。
これまで良心的兵役拒否が認められたのは、明確な教義により銃を取ることを拒否する「エホバの証人」の信徒に限定されていたが、今年初め、兵務庁の代替役審査委員会が個人的信念による兵役拒否者に代替服務を認め始め、最高裁も2月、同じ理由で予備役の訓練を拒否した人に無罪を宣告した。今回、現役の服務拒否者に対する最高裁の無罪判例が作られたことで、良心的兵役拒否を特定の宗教に限定せず全面的に認める法的な先例がすべて備わったとみられる。昨年、本格施行に入った代替服務制度が、完結性を備え本軌道に乗るきっかけになることを期待する。
2018年に憲法裁が「代替服務制度を規定していない兵役法は、良心の自由を侵害する」という違憲決定を下した後、昨年6月に代替役審査委員会が設置され、良心的兵役拒否者の代替服務の認否を審査している。4月までに1208人に代替服務が認められたが、このうちエホバの証人の信徒ではないケースはわずか4人だ。宗教ではなく個人的信念に基づいた兵役拒否は、マイノリティのなかのマイノリティであるわけだ。今回の最高裁の判決を機に、代替役審査委員会も彼らに対する代替服務の認定により積極的な態度を示してほしい。
憲法裁判所の決定後、兵務庁は良心的兵役拒否者に対する告発を中止した。代替服務審査を優先するという趣旨だ。問題は、憲法裁判所の決定以前に告発・起訴された人たちだ。捜査と裁判の過程で兵役拒否の真正性を問うという名目のもと、ショートメッセージの内容やゲーム利用の内訳などの個人情報を隅々まで調べられ、“良心”を試すいじめ水準の質問攻勢に苦しむなど、今なお人権侵害にさらされている。憲法裁判所の決定の趣旨に合うよう、彼らも法廷ではなく代替役審査委員会で代替服務の可否を審査されるようにしなければならない。すでに有罪判決を受けた場合にも、放免や復権をさせたり、特別再審の機会を与えるのが公平だといえる。