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[コラム]「G7+3」の韓国は「対中戦線」に編入されたのか

登録:2021-06-15 04:51 修正:2021-06-15 06:43
韓国が今回のG7を機に、その共同声明の内容を「対中関係」に持っていかざるを得ないということはリスクであり、そうしなければならないということはチャンスだ。米国に対しては、対中対決における韓国の経済的・地政学的な地位を主張しなければならない。
主要7カ国首脳会議(G7サミット)に招待され英国を訪問中の文在寅大統領が13日(現地時間)、英国コーンウォールのカービスベイで行われた「気候変動および環境問題」を扱う拡大会議の第3セッションに参加している。左側から時計まわりに、文大統領、英国のボリス・ジョンソン首相、米国のジョー・バイデン大統領、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、日本の菅義偉首相/聯合ニュース

 韓国は、11日から13日まで英国で行われた今年の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に招かれたことにより、国際的地位と立場が目にみえて“格上げ”されることになった。問題は、その“格上げ”が、韓国にチャンスとリスクのどちらも与える負担の多い道だということだ。

 韓国は、これまでは国際社会で米国が差し出した手を取り、後をついて行くだけだった。いまや米国は韓国を先頭に立て、いばらのやぶを除去し地雷原を先に通るよう催促できるようになった。今回のG7サミットと韓国の招待はそれを物語る。

 今回のG7の共同声明は、天安門事件以後では中国を最も明確に狙ったもので、1975年にサミットが創設されてから中国に対する「最も包括的な批判」だと、「ウォールストリート・ジャーナル」がトロント大学G7研究グループのジョン・カーター所長の言葉を引用して報じた。G7は今回のサミットを機に、先進国の経済協議体から地政学的協議体に性格を強化した。浮上する中国に対抗する米国主導の西側のヘゲモニー秩序に対する擁護が、これからさらにG7の議題になるはずだ。

 そもそもG7は、1975年に6カ国の先進国により創設された際には、当時のオイルショックやインフレなど資本主義経済の秩序の混乱に対処する経済協議体として発足した。ソ連崩壊後、ロシアが1997年に加入しG8として一時拡大されたり、2003年にG8+5形式で中国が招待されたのもその一環だ。しかし、2014年にクリミア半島を合併したロシアの追放、そして中国の本格的な浮上は、G7を西側主導の国際秩序の擁護体に押し進めた。

 トランプ政権が、G7に韓国、オーストラリア、インドを参加させG10や、南アフリカ共和国も加えG11に拡大しようとしたのは、激しくなる中国との対決において友軍を確保し協議体を大きくするためだった。G10構想が失敗に終わったのは、アジアで唯一の先進国の地位が弱まるかもしれないと考えた日本の反対のためだといわれているが、これは現象的な診断だ。むしろインドなどの対象国家の消極的な姿勢が大きかった。伝統的な非同盟国家であるインドは、G10に加担し選択肢を減らす必要はなかった。

 しかしG7はその後、実質的にG7+2あるいはG7+3体制に再編されている。今回、韓国、オーストラリア、インド、南アフリカ共和国が招待された。なかでもオーストラリアはすでにG7の常数になっており、インドは自らの必要に応じて出入りするだろう。韓国は招待を受けた以上、インドのように出入りする立場になるのは難しい。大統領府のパク・スヒョン国民疎通首席は、韓国が2年連続で招かれたうえ、オーストラリアなどは議長国の英国から英連邦国家として招かれた点を挙げ、「韓国は事実上G8に位置づけられたのではないかという国際的な評価が出ている」とも述べた。

 G7に韓国が招待されたことは明確だ。それほど彼らにとって重要な国であるからだ。経済的にも、特にG7が今後没頭することになる米国主導の西側のヘゲモニー秩序の維持において、韓国が持つ重要性のためだ。

 今回のG7共同声明は、中国が核心的利益と規定して他国の言及さえ拒否する新彊ウイグル・香港・台湾・南シナ海問題で中国を名指しで批判した。この声明は、G7国家が作成したものであり、韓国はもちろん関与しなかった。だからといって、韓国はその声明から自由にはなれない。

 これは、韓国にはチャンスであると同時にリスクでもある。韓国が今回のG7を機に、その共同声明の内容を対中関係に持っていかざるを得ないということはリスクであり、そうしなければならないということはチャンスだ。中国も韓国を放棄できず、敵視することさえできない状況を、韓国は利用しなければならない。

 今回のG7では、米国の要求がそのまま反映されたのではない。米国は新疆ウイグルでの強制労働という文言を共同声明に加え、グローバル・サプライチェーンで中国を締めつけようとするきっかけを作ろうとした。しかし、その文言は貫徹できなかった。ドイツとフランスは、気候変動への対処などを名分に中国との経済協力を強調し、自分たちの国益を維持しようとした。

 もはや韓国は、中国に対しては、G7+3の一員としての立場を突きつけなければならない。米国に対しては、「対中対決」における韓国の経済的・地政学的な地位を主張しなければならない。米国のジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官は、今回のG7における米国の対中戦略とは「対決や紛争に推し進めようとするものではなく、経済や技術分野と同様に安全保障でも、今後の激しくなる競争に向け、同盟国や協力国を集めることを準備するもの」だと明らかにした。

 韓国はG7に乗りこんだ。韓国の地位は格上げされ、一貫した外交路線だけが、その地位を韓国のチャンスにしてくれるはずだ。

//ハンギョレ新聞社

チョン・ウィギル|国際部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/999356.html韓国語原文入力:2021-06-15 02:08
訳M.S

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