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[寄稿]韓国外交論争の三つのパズル

登録:2021-04-20 06:47 修正:2021-04-20 08:27
外交政策は国益に基づかなければならないということは常識だ。 そのような常識は失われ、フレーミングの政治だけが横行しているようだ。本当に謎だとしかいいようがない。二者択一のうかつな行動が韓国の重大な国益を失わせかねないという事実をあえて無視し、なぜ極端な選択ばかりを求めるのか。 
 
ムン・ジョンイン|世宗研究所理事長

 事物と現象をみる際には観察者の主観が大きく作用する。これは宿命だ。ただし、懸案に対する政策的な解決策を探る際には、客観的な事実とその時代の常識に支えられなければならない。最近の文在寅(ムン・ジェイン)政権の外交政策に対する批判のなかには、そのような客観的な事実や常識さえ失ったまま、主観と偏見だけで作られたものが少なくないようだ。最近広く論じられている三つの争点を例に挙げよう。

 一つ目は、クアッド(Quad)論争だ。保守論客やメディアは、なぜ文在寅政権は米国が要請するクアッドに加入しないのかといらついている。米国から公式または非公式的に参加要請を受けたことはないという政府の説明にもかかわらず、ただちにクアッドへの参加を宣言しなければ韓米同盟に陰りが出るかのようにいう。米国のアントニー・ブリンケン国務長官も言及したが、クアッドは米国・日本・インド・オーストラリアの間で多くの懸案を扱うための非公式協議体だ。先日のクアッド首脳会談で採択された声明をみても、新型コロナワクチンでの協力、気候変動ワーキンググループ、新興および先端技術での協力など、非軍事の要素を扱っている。したがって、これを明確に対中国けん制のために作られた軍事連合だとみなすのは難しい。韓国政府も、非軍事分野での協力への意向はすでに明らかにしている。

 この問題を歪曲、誇張することには、外国メディアも一役買っている。4月11日付の日本の読売新聞は「米国のサリバン補佐官、ソ・フン室長にクアッドに参加するよう強く圧力」という小説のような誤報を出した。まだ実体も明らかではないクアッドを「アジア版NATO」だと規定し、韓国に参加しないよう圧力を加える中国の一部のメディアの態度も不適切だ。一言でいうならば、フェイクニュースに基づく典型的なフレーミング報道だ。韓国のメディアとオピニオンリーダー層がこれに振り回されているのは理解しがたい。

 二つ目の争点は、最近の大統領府のソ・フン安保室長とチョン・ウィヨン外交部長官の行動についての報道と論評だ。4月初め、ソ室長は米国での韓米日安全保障高官会議に出席し、ほぼ同時期にチョン長官は廈門で中国の王毅外相に会った。一部のメディアは、韓国政府が危険な「二股外交」や「綱渡り外交」をしていると懸念し、別のメディアは、中国が韓国を米国の同盟体制の弱い輪だとみなし攻略しており、韓国政府がこれをすぐに受け入れたため、もはや抜けだすのが難しい泥沼に陥ってしまったと嘆く。韓国が「安米経中」(安保は米国、経済は中国)の戦略的あいまいさを堅持し続けていたら、最後には米国に捨てられ安全保障の破綻に直面するだろうという予言は、いまだに消えない。

 どちらも同意しがたい。韓国政府の外交安保政策の目標は、戦争を予防し、朝鮮半島非核化の実現を通じて平和を強固なものにすることであり、そのために米国との同盟を堅固にし、中国との戦略的な協力パートナー関係を維持するということだ。ソ室長がバイデン政権の対北朝鮮政策の検討に韓国の見解を反映させるために努めることと、チョ長官が中国と朝鮮半島非核化の方法を論議することの間に、矛盾は生じ得ない。朝米対話の再開と韓米首脳会談の日程調整、および北朝鮮の態度変化に向けた中国側の協力を要請することは、すべて現時点では必須である外交事案だ。国益と原則に基づく透明な強大国外交を展開しているとまでは称賛できなくとも、これを亡国外交だとけなす態度は、到底理解できない。

 三つ目は、韓米日3国の協力に関する批判が挙げられる。現政権の反日的な態度のために韓米日3国の協力が難しくなり、これが北朝鮮の軍事脅威への対応に弱みを生じさせ、韓米同盟にも深刻な悪影響を及ぼしているという主張だ。今回のアナポリスでの韓米日安全保障室長会議を機に、金大中(キム・デジュン)政権期の1999年に対北朝鮮政策の効果的な制定と協力のために3国間で作られたTCOG(対北朝鮮政策の調整のための韓米日3国間の政策調整監督グループ)を復活させようという話も出ている。

 韓米日3国の協力は重要だ。北朝鮮核問題以外でもそうだ。しかし、協力のためには相互間のコンセンサスが必要だ。1998年8月、北朝鮮のテポドン発射実験がTCOGを可能にしたが、「ペリー・プロセス」が進められ、3国の協力はより緊密になった。北朝鮮に対する軍事的な抑制に劣らず、制裁緩和と人道的支援を通じた交渉に力点を置いたからだ。歴史問題がなかったとしても、韓国と日本が現在のように北朝鮮核問題に対するアプローチが大きく異なる場合、3者協議が期待する効果を生むのは容易ではない。

 外交政策は国益に基づかなければならないということは常識だ。 しかし、先に言及した三つの事例をみると、そのような常識は失われ、フレーミングの政治だけが横行しているようだ。本当に謎だとしかいいようがない。二者択一のうかつな行動が韓国の重大な国益を失わせかねないという事実をあえて無視し、なぜ極端な選択ばかりを求めるのか。残念でならない。

//ハンギョレ新聞社

ムン・ジョンイン|世宗研究所理事長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/991455.html韓国語原文入力:2021-04-19 10:07
訳M.S

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