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[社説]国際租税体系に革命的変化もたらす「グローバル最低法人税」

登録:2021-04-08 05:23 修正:2021-04-08 10:15
米国のバイデン政権がグーグルやアマゾンなどの米国の巨大情報通信技術(ICT)企業に対するデジタル課税反対の立場を撤回したことで、「グローバル最低法人税率」の導入に向けた動きが加速している=ワシントン/UPI・聯合ニュース

 「グローバル最低法人税率」と「デジタル税」の導入へ向けた動きが加速してる。これらの制度が導入されれば、国際租税体系に革命的変化がもたらされ得ることから、世界的な注目が集まっている。租税回避地を通じた「合法的脱税」を事実上不可能にすることで、租税の正義が実現されると同時に、新型コロナウイルスに対応するため財政拡大に積極的に取り組んでいる各国政府にとっては、財源の調達策となり得る。

 フィナンシャル・タイムズやロイター通信などは6日(現地時間)、米国とフランス、ドイツなどの欧州主要国がグローバル最低法人税率とデジタル税の導入についての原則的合意に近づいていると報道した。欧州主要諸国はこの間、米国のジョー・バイデン政権が提案したグローバル最低法人税率導入の前提条件として、グーグルやアマゾンなどの米国の巨大情報通信技術(ICT)企業に対するデジタル税課税を提示していたが、これに反対してきた米政府が最近、立場の変化を示しているというのだ。

 フランスのブリュノ・ル・メール経済・財務相は「米国の提案を歓迎する」とし「国際租税に関するグローバルな合意が迫っている。我々はこの歴史的機会をつかまなければならない」と述べた。ドイツのオラーフ・ショルツ財務相も「グローバル法人税の最低税率導入論議に勢いづいている」とし「我々は世界的な税の引き下げ競争に終止符を打てるだろう」と述べた。ジャネット・イエレン米財務長官は今月2日、大手ICT企業に対する課税への反対を撤回することを明らかにしたのに続き、5日には「法人税率の下限を設定するため、主要20カ国と協議している」とし「過去30年にわたって続いた各国の法人税引き下げ競争は止めなければならない」と述べている。フランスとドイツは、経済協力開発機構(OECD)と主要20カ国・地域(G20)が主導する約140カ国の多国間協議体において、今年半ばまでには合意が可能だと見込んでいる。

 国ごとに法人税率が異なる中、法人税率の下限が定まれば、税率の低い場所を探し歩いていた多国籍企業の課税回避行為は事実上無意味となる。また「グーグル税」と呼ばれるデジタル税が導入されれば、グーグル、アマゾン、アップル、フェイスブックなどの事業所がある国が、これらの企業に課税できるようになる。現行の国際租税条約では、利益が発生した場所ではなく、本社が所在する場所に法人税を納めることになっている。これは「所得のあるところに税金がある」という租税原則に反する。稼いだだけ税を納めることこそ合理的だ。

 このような変化は、韓国経済にも直接的、間接的に大きな影響を及ぼすことになる。韓国の法人税率は、課税標準額が200億ウォン(約19億6000万円)超から3000億ウォン(約295億円)以下は22%、3000億ウォン超は25%となっており、現在議論されているグローバル最低法人税率の21%より高いため、直接的な影響は大きくないと予想される。一方、デジタル税が導入されれば、韓国で莫大な利益を上げながらも税はほとんど納めていないグーグルやアップルなどへの課税が可能となる。もちろん、サムスン電子やLG電子などの韓国の大企業も影響を受けることになる。韓国政府は、国際的に課税公平性を高めつつ、韓国企業が不利益を受けないよう、国際社会の議論に積極的に参加すべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/990068.html韓国語原文入力:2021-04-07 18:35
訳D.K

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