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[寄稿]岐路に立たされた国連軍司令部、冷戦の遺物として残るのか

登録:2021-02-04 06:35 修正:2021-02-04 08:28
キム・ヨンジュンㅣ国防大学校教授・米国防総省シンクタンクFMSO国際先任研究員

 バイデン新政権が発足した。新たに韓米関係を強化するための展望と悩みが多い。韓国と米国は朝鮮戦争を共に戦った血盟であり、米国は国連軍司令部を主導し、国連参戦国とともに名前も知らない国に来て血を流した。こうした理由から韓国人は国連軍をありがたい存在として記憶している。現在と未来の国連軍司令部が韓米関係と連動してどのような姿で発展すべきかは、朝鮮半島の平和と繁栄のための核心事案と言える。

 今日、国連軍司令部は2つの問題の中心に立っている。1つ目は、戦時作戦統制権(戦作権)の移管に関する問題だ。オバマ政権時代に国連軍司令部が再活性化されたことで、韓国の学界と政策コミュニティでは、戦作権の移管後も米国が国連軍司令部を通じて朝鮮半島の戦場主導権を維持するのではないかという論争が広がった。二つ目は、朝鮮半島平和プロセスが進むにつれ、国連軍司令部が南北交流を遮断し、阻害するのではないかという懸念だ。板門店(パンムンジョム)宣言と平壌(ピョンヤン)共同宣言後に試みられた小規模な南北交流を国連軍司令部が中断させたことで触発した問題で、平和協定後に国連軍司令部の存廃と連動し、国連軍司令部に対する韓国内の認識の変化が生じたのだ。

 国連軍司令部に関する米国の意見は、公の場や公開セミナーではなかなか聞けない。親交のある知人と率直に話し合う場が、このような敏感な問題に対する見解を共有できる良い機会だ。筆者はこれと関連し、3回の逸話が記憶に残っている。1回目はロバート・ガルーチ元大使とのプライベートな夕食の席で、2回目はジョセフ・ユン大使との非公開晩餐会で、3回目は元国連軍司令部副司令官のウェイン・エア中将の招待で、平澤(ピョンテク)の国連軍司令部執務室を見て回った後に共にした食事の席でのプライベートな会話だった。詳しい内容をすべて明かすわけにはいかないが、共通の見解は、国連軍司令部が今後も韓国人に朝鮮戦争当時のいいイメージで愛され続けることを望んでいるということだ。

 国連軍司令部は、国連よりも米国統合参謀本部の実質的な統制を受ける。基本的に停戦協定を遵守し、朝鮮半島の平和のために軍事分野の役割を遂行する。このため、国連軍司令部は軍事的範囲を越えて、韓国と米国が朝鮮半島の平和と繁栄のために根本的な政策の方向を転換する統治行為と政治的行為を制限することはできない。米国の統合参謀が米国大統領より上に立つことはあり得ない。国連軍司令部の存在目的は朝鮮半島の平和と紛争抑止であるため、これらの目的に合致する上位の国家政策に制限を加えることはできない。

 国連軍司令部は、朝鮮半島の平和と繁栄のための役割に合致しなければならない。国連軍司令部がこれまで朝鮮半島の平和を守るため、朝鮮戦争で行った貢献と貢献によって韓国人に記憶され愛されてきたならば、これからの国連軍司令部も韓国人が念願する朝鮮半島の平和と繁栄に向けた大転換に貢献しなければならない。最近、国連軍司令部関連の非武装地帯(DMZ)への出入り、軍事境界線の越境などが物議を醸しており、国連軍司令部が朝鮮半島平和プロセスの障害物として認識される傾向がある。国連軍司令部が朝鮮半島の平和定着を阻害し韓国政府の主権を制限するという韓国社会の議論がなぜ生じたのかを、国連軍司令部はよく考えなければならない。平和協定後も国連軍司令部が持続的に重要な役割を果たすためには、国連軍司令部は冷戦の遺物ではなく、朝鮮半島の平和の象徴として朝鮮半島平和プロセスの主役になるべきである。

//ハンギョレ新聞社
キム・ヨンジュンㅣ国防大学校教授・米国防総省シンクタンクFMSO国際先任研究員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/981702.html韓国語原文入力:2021-02-04 02:12
訳H.J

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