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[社説]「児童虐待」付け焼刃の対応では「ジョンインの死」繰り返される

登録:2021-01-06 04:16 修正:2021-01-06 07:43
わずか生後16カ月で養親の虐待により死亡したジョンインちゃんが安置された京畿道楊平郡のハイファミリー・アンデルセン公園墓地に、市民の追悼メッセージや花、人形などが置かれている=楊平/パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 養父母の残酷な虐待で16カ月の短い一生を終えた「ジョンインちゃんの死」に、国民の怒りが沸き立っている。昨年10月に初めて公表されたこの事件は、今月2日の番組『それが知りたい』で虐待の惨状と警察の安易な対処が明らかとなり、公憤が広がった。虐待の加害者である養親の裁判を担当するソウル南部地方裁判所には、被告への厳罰を求める嘆願書や陳情書が5日正午現在で550件以上寄せられ、「#ジョンインちゃんごめんね」ハッシュタグ運動、関係者の処罰を求める大統領府国民請願なども続々と登場している。共に民主党と国民の力はこの日、「ジョンイン事件」関連法案を臨時国会最終日の8日の本会議で処理することで合意した。

 番組で明らかとなった養父母による虐待の極悪さは、画面に目を向け続けるのが苦しいほど衝撃的だった。国民をいっそう憤らせたのは、警察に3回も通報されたのに、子どもを救えなかった関係者たちの無責任やシステムの麻痺だった。ジョンイン事件だけではない。昨年6月に保護者の虐待によりスーツケースの中で死亡した天安(チョナン)の9歳の子どもも、警察に通報されたにもかかわらず形式的な調査が行われただけで、家に帰ってわずか1カ月後に惨事に遭った。

 児童虐待死亡事件で社会が騒々しくなるたびに、政府は児童虐待防止対策をまとめてきた。2013年の蔚山(ウルサン)のソヒョンちゃん殴打死亡事件の際にも、2015年の仁川(インチョン)の小学生監禁虐待事件の際にも、2017年のコ・ジュンヒちゃん虐待致死・死体遺棄事件の際にも、政府は様々な防止策や改善策を次々と打ち出した。しかし、その度に打ち出された付け焼刃の対策は現場で役立たなかっただけでなく、口先だけに終わった内容も多い。その結果、児童虐待は毎年増え、2019年には3万件を超えており、統計に表れた虐待死亡児童だけでも42人にのぼる。

 チョン・セギュン首相は5日、緊急の関係長官会議を開き、児童虐待加害者の量刑基準の引き上げ要請、養子縁組手続きの強化、児童虐待専門公務員の拡大、保護施設の拡充、警察庁への児童虐待総括部署の新設などの対策を打ち出した。これまで対策がなかったために数多くの子どもたちが虐待で命を失ってきたのではないということは、政府もよく知っているはずだ。子ども一人を安全に育てるためには、親と家族だけでなく、政府と地域社会すべてが直接的な責任者なのだという認識を根付かせるとともに、その認識が行動へと移されなければならない。でなければ、この先もこのようなおぞましい悲劇が繰り返されることを防ぐことはできない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/977414.html韓国語原文入力:2021-01-05 18:38
訳D.K

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