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[社説]文大統領「公共賃貸発言」に対し行き過ぎの非難、庶民の住居は眼中にないのか

登録:2020-12-14 09:11 修正:2020-12-14 10:59
文在寅大統領が今月11日午前、京畿道華城市東灘の公共賃貸住宅を訪れ、2階部屋つきのマンション内部を見て回っている/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が11日に公共賃貸マンションを訪問して韓国土地住宅公社(LH)のビョン・チャンフム社長と交わした発言をめぐり、議論が続いている。文大統領が「13坪のマンションで4人家族も住める」と発言したように一部メディアで報道されると、野党勢力が一斉に文大統領を攻撃したのだ。大統領府は12日、「事実を抜き去って発言の趣旨を歪曲した報道だ」と反論した。

 当時の対話の全文によると、文大統領は13坪(44平方メートル)の複層型マンションを見学しながら、ビョン社長の説明に対し「つまり新婚夫婦に子ども1人というのが標準で、小さい子どもの場合は2人も可能だ(ということか)」と、質問のかたちで述べた。この発言が「4人家族でも十分暮らせる」という意味に変わってしまったというのが大統領府の説明だ。また、文大統領が「子どもが増え、財産が形成されれば、より高いレベルの住居を望むこともある。中型マンションに移れる住居の橋渡しを作らなければならない」という発言を抜き消したということだ。これに対するマスコミの反論はなかった。

 同日の行事は、公共賃貸マンションを快適な住居生活ができるようにしようという趣旨で催された。発言の前後の脈絡を省略したまま巧妙に皮肉った一部マスコミの行動は、昨日今日のことではない。再三の説明にもかかわらず修正しなかったという。公共賃貸マンションを軸とした住居供給政策を揺さぶる意図でないなら、理解しがたい報道態度だ。

 野党「国民の力」のユ・スンミン前議員は、SNSに「あなたが行きなさい、公共賃貸」というタイトルで「普通の人々はマイホームをもつ夢を持っているが、大統領はそんな『馬鹿な夢』は捨てよと言っている」とし、「自分たちは公共賃貸に住みたがらないのに、国民には公共賃貸に暮らせという」と書いた。国民の党のアン・チョルス代表は「(大統領が)退任後に795坪の私邸を用意している状況で、国民に言うべき言葉ではない」とし、唐突に大統領の私邸問題を引っぱり込んだ。

 文大統領が訪問した賃貸マンションは「専用面積」が13坪だ。通常の分譲・取引基準である「供給面積」では20坪前後に当たる。持ち家であれ賃貸であれ、全国のマンションに居住する世帯の5つに1世帯は20坪以下で暮らす。「4人家族が住めない狭い家」というのは、その人たちに対する卑下に他ならない。住む家の形や規模で国民を分裂させる行動でもある。先の大統領選挙の際、すべての候補が「公共賃貸住宅の強化」を先を争って主要公約に掲げている。ところが、今になって賃貸住宅に住めば「夢を捨てた人生」だと言う。はたして庶民の住居の安定を語る資格があるのか、問わざるを得ない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/974019.html韓国語原文入力:2020-12-14 02:41
訳C.M

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