文在寅(ムン・ジェイン)大統領がポストコロナ(新型コロナウイルス感染症以後)に備えるための国家の重要課題として「グリーン・ニューディール」を提示した。気候変動を始めとする環境関連の投資を導いて雇用を促進し、経済活力も高めるという意味だ。感染病事態で環境への危機意識が高まっている時に出てきた適切な方向提示と見る。環境と経済という二兎を両方得ようとするグリーン・ニューディールは世界的な流れでもある。
文大統領は今週末か来週初めに環境部、産業通商資源部、中小ベンチャー企業部、国土交通部からグリーン・ニューディール事業に関する合同書面報告を受ける予定だ。12日の国務会議(日本の閣議に当たる)の非公開討論の際に出た指示の後続措置だ。文大統領は「グリーン・ニューディールはそれ自体が多くの雇用を作ることができる」と参謀陣に話したと、カン・ミンソク大統領府報道官が伝えた。カン報道官はグリーン・ニューディール関連事業をポストコロナの重要課題として推進していくのが文大統領の意向とも述べた。
政府が7日明らかにした「韓国型ニューディール」構想からグリーン・ニューディールが抜けているという批判が提起されていたところだ。韓国型ニューディールの基本構造である「3大プロジェクト・10の重点課題」は、デジタルと非対面化に焦点を置いただけで、生態と環境という時代的価値を反映することができなかったという指摘だ。COVID-19防疫で名声を高めた韓国が、エネルギー転換や温室効果ガス削減などの環境テーマでは後れを取り、国際社会で「気候悪党」と呼ばれる苦々しい現実がそれに重なる。
欧州では電気自動車の生産過程で用いられる電気を100%再生エネルギーにするよう強制しようとするほど、国際的環境規制が日増しに強まっている。環境対応だけでなく産業競争力を失わないためにも、グリーン・ニューディールが必須であることを示している。再生エネルギー、未来型自動車、エコ建築のようなグリーン・ニューディール分野は、雇用創出と経済活性化にも直結する。
政府から提示されたグリーン・ニューディールの概念や方向はまだ明確ではない。4部処の業務報告に内実ある内容が込められるよう願う。「緑色成長」とのスローガンを掲げたが実際には「4大河川事業」のような土木・建設投資に走り、「柄だけ緑色」だった李明博(イ・ミョンバク)政権の二の舞を演じてはならない。そのような点で韓国型ニューディールとグリーン・ニューディールを連携推進する案は検討するに値する。デジタル・非対面化にだけ焦点を合わせると、生態・環境価値と衝突することになり得、社会不平等を解消する課題から遠ざかる可能性があることを忘れてはならない。