4・15総選挙で新型コロナウイルス(COVID-19)による参政権侵害の懸念が現実となった。中央選挙管理委員会は26日、感染症の世界的な拡散によりイタリア、ドイツ、英国、フランスなど17カ国で4月15日の総選挙の在外国民投票が不可能になったと発表した。これらの地域で登録されている在外国民選挙人約1万8千人が、国民の基本権である参政権を突然失ったのだ。非常にやるせない。
選管は、これらの国々で外出制限や通行禁止が施行され、投票に参加する選挙人の安全を保障できないためと説明した。これらの国に駐在の韓国大使館も国民参政権を実現するために最後まで苦心したが、現実的に投票は難しいという判断を政府に伝えたという。避けられない側面を理解できないわけではないが、一部では不十分な対処により在外国民の参政権が侵害されたと指摘されていることを、選管は重く受け止めなければならない。
今後の問題は、国内投票では参政権の侵害が発生しないようにすることだ。COVID-19感染への懸念から有権者が投票所を訪れることを忌避し、4・15総選挙の投票率が過去最低を記録するという見通しが出ている。選管はこれまで、陽性判定を受けて隔離中の患者に対しては、滞在先から郵便で投票する「居所投票制度」を利用することを勧めている。しかし居所投票の申請期間は28日で終わる。選管はその後発生する陽性患者のために、4月10~11日の事前投票期間に別途の投票所を設置する方策を用意すると明らかにした。支障なく施行できるよう万全の準備をしなければならない。
選管は事前投票後に発生する確定患者や隔離患者に対しては「投票できない」と明らかにしている。政府も「投票当日に咳や発熱のある有症状者は家に留まってほしい」と勧告した。しかし、できるだけ参政権侵害が起きないようにすることこそ政府と選管の役割だ。集団感染の懸念から家族との面会禁止はもちろん、事実上外部と遮断されている療養病院、老人ホームにいる有権者に対する投票権保障対策が急がれるという指摘も出ている。一部からはオンライン投票方式などが提案されているが、選管は時期尚早という立場を表明しているという。選管は特段の対策を講じなければならないだろう。また、国民が安全に投票できるよう、投票所の防疫などにも万全を期してもらいたい。