新種のコロナウイルス感染症(肺炎)の拡大がただごとではない。昨年末に中国の武漢市で発生した新種のコロナウィルス感染は中国全域に広がっていき、23日現在で感染者600人以上、死亡者17人とされるが、実際はこれより広範囲に及ぶだろうという観測が強い。国境を越えて拡大し、韓国、日本、台湾などのアジア圏はもちろん、米国でも確定感染者が発生した。伝染が広がり続けていることで、中国当局は武漢からの航空機、列車、バスの運行を中止するという「劇薬処方」まで施したという。
まだ国内での大規模な伝染を懸念する段階ではないが、状況はいつでも悪化しうる。保健当局の徹底した防疫と迅速な初動対応が必要だ。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)はアジア地域を席巻し、37カ国で770人あまりの死傷者を出したが、韓国では犠牲者がなかった。一方、SARSより伝染力が落ちる2015年のMERS(中東呼吸器症候群)拡大の際には、国内で38人が死亡した。初期の防疫に穴が生じたことで病院内で2次、3次、4次感染まで発生して犠牲者が増えた。防疫当局は、当時の痛恨の経験を教訓に、早期発見や早期治療などに万全の準備をすべきだ。
現在、国内の新型肺炎感染者1名は状態が安定しており、追跡調査の結果、この患者と接触した31人にもまだ症状は出ていないという。だからと言って安心するには早い。中国では春節(旧正月)の連休を迎え、延べ30億人が移動するため、感染が急速に拡大する可能性がある。韓国にも10万人以上の中国人が訪問すると予想される。韓国国民も3千万人以上が旧正月の連休中に移動することが予想されている。
伝染病の流入と拡大に脆弱な環境であるだけに、保健当局には空港入国段階での徹底した検疫など、さらに徹底した防疫体系を備えてもらいたい。市民も頻繁によく手を洗い、咳が出るならマスクをつけるなど、予防と拡散防止に気をつけなければならない。