サムスンバイオロジックス粉飾会計(会計不正)事件に関連する証拠を隠滅した容疑で裁判に付されていたサムスン役職員らが、実刑を宣告された。サムスンバイオ会計不正疑惑に関連する事案に下された裁判所の最初の判断だ。サムスン電子のイ・ジェヨン副会長の経営権継承問題にも繋がっており、注目される。
ソウル中央地裁刑事24部は9日、サムスン電子のイ・ワンイク財務チーム副社長を始めとする関連役職員に実刑を宣告し、「国民的関心事である会計不正事件についてグループ全体で組織的・大々的に証拠を隠滅・隠匿した罪責は軽くない」と厳しく指摘した。これらの役職員はサムスンバイオ粉飾会計疑惑に対する検察捜査が予想された去年5月、サムスンバイオと子会社のサムスンエピスの内部文書を隠蔽・操作するよう指示したり、直接行った容疑を掛けられた。
イ副社長がサムスングループを統括する未来戦略室出身の中核の財務通である点や、「組織的・大々的」との裁判部の表現から垣間見られるように、グループ全体の懸案に絡んだ事案だ。サムスン側は裁判に先立ち、粉飾会計事件の裁判結果を見守った後に判決を下すべきだと主張したが、この日の裁判所は「粉飾会計疑惑と関係なしに、この事件の有罪・無罪の判断は可能であると見なした」と明らかにした。
証拠隠滅に実刑が宣告されたことにより、事件の“本流”に相当する粉飾会計疑惑もまた、より一層深まることになった。国内トップ企業の名声に似合わない不正行為であり、サムスンは恥じるべきだ。さらにこの事案は経営権継承に絡んでいるという点で重要だ。証拠隠滅は粉飾会計を隠すためのものであり、粉飾会計はすなわちイ・ジェヨン副会長の経営権継承のためのものだったという疑いをかけられている。
会計不正に関する検察の捜査は8月から5カ月間足踏み状態だ。裁判所はこの日、「相当量の資料が確保され数カ月間捜査が進められたが、会計不正事件は起訴さえされなかった」と明らかにした。事実上検察を叱咤したのであり、胡散臭い理由で検察が間を置いているのではないかという世間の疑心を増幅させる。検察が心に刻まなければならない点だ。
証拠隠滅はもちろん、これに繋がる会計不正疑惑に対しても、検察と裁判所の厳正な断罪が行われなければならない。経営権継承のような特定目的のために手段や方法を選ばず経済秩序を乱す事が繰り返されては困る。金の力で法を軽んじる態度の再発を防ぐ道は厳正な断罪だけだ。