サムスン電子が公正取引委員会の調査を前に関連資料を廃棄・隠匿していたことが、またもや明らかになった。もう四度目である。サムスン電子は2005年、2008年、2012年にも、公取委の調査官らの会社への立ち入りを阻止してパソコンのデータを削除するなどの調査妨害を行い、過料を科された。ここまで来ると常習的と考えざるを得ない。
公取委が26日、共に民主党のチョン・ヘチョル議員に提出した資料とハンギョレの取材によると、サムスン電子は昨年、公取委企業集団局の現場調査の前に「完全削除プログラム」を用いて関連データを削除した。このような場合、データ復旧はさておき、存在するかどうかすら分からないという。幸いにも公取委は、サムスン電子の電算管理者のウィンドウ・ログファイルを調べ、問題のデータが外部保存メディアにバックアップされていることを突き止め、これを確保した。
サムスンは2012年に公取委の調査に対する妨害行為がマスコミに公開されると、「イ・ゴンヒ会長が激怒して強く叱責した」として、「政府の正当な公務執行を妨害した行為は明白な過ち」と発表した。過ちを認めて反省したのだ。また、「法と倫理に違反した幹部および職員は地位の上下を問わず寛容な態度を取らない」とした。そう言いながら、調査妨害を指揮した当時の専務を翌年副社長へと昇進させた。このように言行が一致しないから、まったく同じ過ちが繰り返されているのだ。
この5月には、サムスンがサムスンバイオロジックスの粉飾会計に対する検察の捜査に備え、関連する証拠を隠滅した事実が明らかになっている。仁川松島(インチョン・ソンド)工場の床下にサーバやノートパソコンなどを隠し、幹部と社員の携帯電話やノートパソコンなどを検査して「JY (イ・ジェヨン) 」や「合併」などのキーワードが入った資料を削除したのだ。証拠隠滅容疑で起訴されたサムスン電子とサムスンバイオの幹部および社員は、25日に開かれた初公判で、資料削除行為などを全て認めた。
サムスンをはじめとする財閥企業による公取委調査の妨害が繰り返されると、政府は2017年に公正取引法を改正して処罰条項を強化した。資料を廃棄したり提出を拒否したりした場合、2年以下の懲役や1億5000万ウォン(約1360万円)以下の罰金刑に処される。公取委は今回のサムスン電子の資料廃棄・隠匿行為に対し、厳しく責任を問うべきだ。財閥が法を軽んじるのには、政府の甘い態度も一役買っているという指摘を肝に銘じなければならない。