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[社説]北朝鮮の海岸砲射撃は「9・19軍事合意」の完全な違反だ

登録:2019-11-26 07:20 修正:2019-11-26 08:03
北朝鮮の金正恩委員長、昌麟島防御隊視察//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が西海の白ニョン(ペンニョン)島近くの昌麟島(チャンリンド)で海岸砲射撃訓練を実施したと、北朝鮮官営メディアが25日、報道した。先月、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の「金剛山(クムガンサン)観光南側施設撤去」指示に続き、北朝鮮の圧迫攻勢が軍事分野にまで広がっているという印象を消すことができない。北朝鮮は南北間の軍事的緊張を高める行為を直ちにやめるべきだ。

 北朝鮮の海岸砲射撃訓練は「9・19南北軍事合意」の精神に正面から逆らう行為であるという点で重大だ。去年採択した「9・19軍事合意」で、南北は軍事境界線一帯で一切の軍事的敵対行為を中断することにした。この合意により、南北は西海で砲射撃と海上機動訓練を中止し、海岸砲と艦砲の砲門も閉鎖した。9・19軍事合意は去年3回目の南北首脳会談の最も大きな成果であり、南北平和を守るための最後の砦だ。北朝鮮の海岸砲訓練は南北首脳が8000万同胞の前で厳粛に宣言した約束を破る行為だ。北朝鮮が合意精神を尊重しないのであれば、南北関係は9・19以前に戻るしかない

 今回の海岸砲射撃訓練は、金正恩委員長が最前線の軍部隊を訪問して直接射撃を指示したという点で、危険性が極めて高い。北朝鮮最高指導部が何か重大な決心をして一糸乱れず動くと見当をつけるしかない行動である。北朝鮮は朝米非核化交渉で自ら設定した「年末期限」を控え、攻勢の手綱をさらに締めているものと見られる。しかし、このように圧迫の強度を高めても、北朝鮮が望む通りに米国が交渉方式を変えるかは分からない。北朝鮮は南側を圧迫することにより、対米交渉力を高めることができると判断しているのかもしれないが、このようなやり方の対南攻勢は、南北関係のみを毀損するだけである。北朝鮮は圧迫だけでは状況を変えられないという点を認識しなければならない。非核化交渉を正しい方向に進展させるためにも、南側を窮地に追い込んではならない。

 このまま行けば、南北関係はより悪化し、去年に成し遂げた成果を全て原点に戻す可能性がある。朝鮮半島の平和プロセス全体が危機に陥ることもあり得る状況だ。政府は事態を重く見て、対応策を講じなければならない。北朝鮮に再発防止を強力に促すと同時に、南北米関係が悪循環に陥らないように打開策を捜し出すことに力を集めなければならない。非核化交渉が膠着状態で年末を越す場合、朝米関係だけでなく南北関係も元に戻すことができないほど悪くなる可能性があることを、肝に銘じて対応してほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/918458.html韓国語原文入力:2019-11-26 02:10
訳M.S

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