チョ・グク前法務部長官が14日、検察に事実上「被疑者」の身分で非公開召喚され、調査を受けた。長官職を退いてから1カ月、検察が大規模な家宅捜索を行い捜査を本格化してから79日たってのことだ。検察は、チョ前長官が妻のチョン・ギョンシム東洋大学教授の疑惑に相当部分関わっていると見て追及したが、チョ前長官は初めから黙秘権を行使したという。法に定められた当然の被疑者の権利ではあるが、最近まで法務部長官を務めた者として捜査の手続きに応じて実体的真実の究明に積極的に取り組まないのは残念だ。チョ前長官は、「議論されている疑惑全てが事実と異なる状況で、いちいち答えて釈明するのは不要であると判断した」と明らかにしたが、結局、実体的真実は法廷で突き止めるしかないと見られる。
チョン・ギョンシム教授を15の容疑で起訴した検察は、これまでチョ前長官との関連を探ることに集中してきた。チョン教授の借名投資の疑惑に関しては、チョ前長官がこれを知っていたら公職者倫理法違反、さらに賄賂罪の適用も可能であると考えている。二次電池業者であるWFMの株式を借名で買い取る過程で、大統領府の近くのATMから数千万ウォンが送金されたにも関わらず、チョ前長官は「妻の投資は全く知らなかった」と主張しており、検察が容疑を立証しなければならない状況になった。この他に、娘の釜山大学医学専門大学院の奨学金疑惑および子供のソウル大学共益人権法センターでのインターン証明書作成とチョン教授の証拠隠滅疑惑に対するチョ前長官の関与の有無も、同様に検察の後続措置がカギである。
検察改革を第一の公約のように掲げてきた「文在寅(ムン・ジェイン)大統領府」の民情首席出身で、最近まで法務部長官だったチョ前長官の検察召喚は、現政権と検察の全てに様々な考えの種を投げかける。文大統領と政府与党が「チョ・グク事態」を謝罪したりしたが、これまでの国政運営方式、特に検察改革に関しては、深い省察が必要と思われる。検察も、国会とメディアの検証局面に飛び込んだ捜査で、大統領の人事権と国会の長官承認手続きへの介入という批判、そして検察改革に対する反発という批判を受けた。また、チョン教授に適用した容疑の数は多いが、今のところ典型的な権力型不正からは多少距離があるのも事実である。
起訴以後、チョン教授側は「同意できない図が描かれた」と反発しているが、検察は「疑惑の出発点であり終着点」であるチョ前長官の捜査がこれ以上消耗的な論争に繋がらず、法的議論を鎮める契機になるよう、恥のない捜査を進めてほしい。特に今回の捜査の結果が、検察改革の推進に支障をきたすことは決してあってはならない。