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[寄稿]再び岐路に立った韓国

登録:2016-11-29 21:26 修正:2016-11-30 06:03
キム・ドンチュン聖公会大NGO大学院長、「新たな百年」研究院長=資料写真//ハンギョレ新聞社

 「キャンドルデモ」に集まった韓国国民は真に偉大だ。その力で弾劾局面まで持ってきた。しかし、朴槿恵(パク・クネ)政権の企画、監督、演出者はそのまま残っていて、政策も変わっていない。1987年6月抗争直後のように、いや、4・19、8・15直後のように、韓国は再び岐路に立っている。キャンドルは“清算”と“代案の用意”のための国民的討論と組織化された圧力行動へと進化しなければならない。

 26日、190万人という史上最大の人の波が全国の大都市の道路を埋め尽くし「朴槿恵退陣」を叫んだ。大統領はもはや国民の笑いものになった。光化門(クァンファムン)交差点で拡声器で朴槿恵大統領をばかにしても逮捕されない。国民はすでに彼女を弾劾した。

 ところで、わずか1年前、検察は朴槿恵誹謗印刷物を配布したパク・ソンス氏を現行犯で逮捕して拘束したし、警察は朴槿恵誹謗印刷物を配布した人を逮捕するとしてホコリはたきのような捜査をした。今、キャンドルデモをほとんど生中継している多くの総合編成チャンネルは、朴槿恵政権発足以降、国家情報院による大統領選挙介入の捜査、セウォル号事故など朴槿恵政権の主な疑惑事件が起きた時には、事実報道をしないのはもちろん、国民の目をそらすためにほとんど終日雑談を流し続けた。非朴、親朴のセヌリ党議員は今までのすべての「朴槿恵印政策」に意見を提起するどころか、ほとんど盲従してきた。

 今回のゲートは非常に衝撃的だが、セウォル号救助失敗の他にも朴槿恵政権の人事と政策の“非常識”と違法行為は、事実過去4年間続いたことであったし、2年前の大統領府文書流出事件ですでに門番3人組による権力壟断は明らかになっていた。それでも過去4年間、検察や警察、総合編成チャンネル、セヌリ党など公的組織はひたすら内外部の告発者ばかりを弾圧した。

 大統領制下の執権与党の自律性は制限されやすいことを勘案しても、今までのセヌリ党は、かつての李承晩(イ・スンマン)時期の自由党をも凌駕する、容認しがたい水準だった。セウォル号の救助失敗は、朴槿恵大統領と政府の責任に属するが、その後の真相究明は国会の任務であった。ところがセヌリ党のチョン・ジンソク院内代表は、セウォル号真相究明を要求する遺族たちの前で「セウォル号特調委は何もしないで予算だけ無駄にしている」と言ったし、別のセヌリ党議員も「セウォル号は交通事故」、「左派団体をあぶりだそう」、「船体引き揚げはもうやめよう」などの妄言を吐いて、遺族と国民の要求を握りつぶしてきた。

 朴槿恵大統領はセヌリ党が公式に推戴した大統領候補として大統領選挙に当選したのであり、またセヌリ党を基盤として大統領職を遂行した。公と私を区分できない朴槿恵大統領を“俳優”として前に出した企画、監督、演出者はセヌリ党だった。セヌリ党は過去4年間、執権勢力として毎年数百兆ウォンの国家予算と数千個の重要ポストを戦利品のように利用した。大統領選挙当時「経済民主化」を公約として掲げ、就任直後にそれをごみ箱に捨てた朴槿恵大統領に一言でも進言したセヌリ党議員がいたのか? 今は朴槿恵大統領の商標である“創造経済”が、陰の実力者の“金儲けの祝祭”だった事実が明らかにされたが、国内外の多くの専門家たちが、“創造経済”とは「何の中身もないたわごと」と指摘した時、セヌリ党は果たしてどのような立場だったか?

 ところで、朴槿恵大統領当選の筆頭功労者である金武星(キム・ムソン)が今は弾劾と改憲を推進しようと言い、さらに親朴系の重鎮までが自分たちが前に押し出した俳優に舞台から降りるよう建議する。国民の党と一部の野党指導者は「親朴も謝罪し反省すれば許そう」と言っている。悪い兆しだ。

 朝鮮日報や金武星は、あたかも「大統領5年単任制」憲法がすべての問題の原因であるかのように世論を誘導している。1987年の6月抗争直後「直選制」改憲だけが問題の解決策であるかのように枠組みを作り、デモ隊と野党勢力を分離させ、野党指導者の分裂を利用して再び政権を握った、まさにその論理、その勢力だ。そのために民主化以後の過去30年間、政権は交替させられても、勢力は交替させられなかったし、財閥体制は強化された。はっきり言えば、今日の“ヘル朝鮮”はここに由来している。

 「キャンドルデモ」に集まった韓国の国民は真に偉大だ。その力で弾劾局面まで持ってきた。しかし朴槿恵政権の企画、監督、演出者はそのまま残っており、政策も何も変わっていない。1987年の6月抗争直後のように、いや4・19、いや8・15直後のように、韓国は再び岐路に立っている。このゲートのすべての法律違反者と共謀者を徹底的に捜査・処罰し、責任を負わせなければならない。検察改革、国家情報院改革、選挙法改正、公営言論改革がない改憲論や大統領選挙競争は、再び国民を“卒”(日本の将棋の歩に相当)に転落させるだろう。キャンドルは“清算”と“代案用意”のための国民的討論と組織化された圧力行動へと進化しなければならない。弾劾は始まりに過ぎず、大統領選挙は終着点ではなく過程だ。

キム・ドンチュン聖公会大NGO大学院長、「新たな百年」研究院長

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/772520.html 韓国語原文入力:2016-11-29 19:07
訳J.S(2218字)

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