原文入力:2011-04-27午後09:39:20(2522字)
"毎年 放射能治療" 南東の風のために落塵被害‘まるごと’
子供たち 内蔵被爆など後遺症
18才以下 甲状腺癌 最高39倍↑
年間12万人が療養所で低減療法
ナム・ジョンヨン記者
←免疫力強化治療 去る20日、ベラルーシの首都ミンスクにあるチュダノビッチ子供療養センターで、エブゲニア チルリコバ(8・右側)がお母さんのイリーナ チルルリコバ(38)が見守る中で免疫力強化のための光線治療を受けている。体内に蓄積された放射性物質は免疫力を落とすことが知られている。 ナム・ジョンヨン記者
(下) 隣国ベラルーシ‘恐怖の影’
去る20日、ベラルーシの首都ミンスクのチュダノビッチ子供療養センター。 エブゲア チルリコバ(8)が銀色の放射能測定椅子に座った。医師が「エブゲニアは‘カテゴリー1’に該当する」と話した。お母さんのイリーナ チルリコバ(38)は安堵のため息をついた。‘カテゴリー1’は問題がないという意味だ。
25年前、チェルノブイリ原子力発電所事故当時に吹いていた南東風のために放射能落塵被害は隣国ベラルーシに集中した。今でも国土の23%が放射性物質のセシウムに汚染されていて、放射能汚染が激しい地域の18才以下の子供・青少年は毎年一回 射能低減治療を受けている。
←クリックすれば大きく見ることができます。
イリーナは事故が起きた1986年4月26日、路上でクワス(ベラルーシの伝統飲料)を売る母親と一緒に市場に出かけた。「非常に乾燥して熱い風が吹いていたようです。」
イリーナが80km離れたチェルノブイリ原発から放射能が流出したという話を聞いたのはそれから1週間後だった。「何日か後に公務員たちが道を歩いている人をつかまえて放射能検査をしました。他の村の人々はすでに村を去っていました。幸い私たちの村は落塵が多くは降っていない場所でした。」
だが、イリーナも18才になるまで毎年 放射能測定椅子に座った。娘エブゲニアのように1年に一回ずつ旧ソ連と黒海の療養所を訪ね放射能治療を受けた。路上で主に遊んでい子供たち、畜産農家で生まれ牛肉と牛乳をたくさん摂取した子供たちは内蔵被爆により特に数値が高かったとイリーナは話した。汚染度の高い子供たちは首に常に計測器をかけて通い 毎月療養所に送られた。
子供療養センターに入れば一番最初に受けるのが放射能検査だ。セシウムなど体内放射能濃度を測定し問題がなければ‘カテゴリー1’に分類する。‘カテゴリー2’は基準値に近接した数値、‘カテゴリー3’は基準値を越えた数値が出た場合だ。半減期の長いセシウムとカリウムは今でも土壌に残っており、子供たちが露出しやすい。コストビーチャ スベトゥラーナ療養センター副所長は「前回入所した350人の中で3人が‘カテゴリー3’に分類された」として「今は非常に良くなって‘カテゴリー3’は1%しかいなく、20~25%が‘カテゴリー2’に分類されている」と話した。
療養センターでは多様な放射能低減療法が施される。免疫体系を強化し血液循環を活性化させることにより放射能を体内から取り出す。脳神経細胞の損傷を減らす‘二酸化炭素サウナ’、放射能排出に良いというハーブ茶なども提供される。24日間のプログラムを終えれば‘カテゴリー2’に属した子供たちも‘カテゴリー1’まで低くなるとスベトゥラーナ副所長は話した。
全国14ヶ所の療養センターに入所する子供は年間12万人に及ぶ。まだ全国に放射性物質が残っているため、体内吸収がはやい子供たちは放射能濃度を管理しなければならないためだ。ベラルーシ非常事態部のチェルノブイリ災難復旧局が出した25周年報告書によれば、国土の23%がセシウム137に、10%がストロンチウム90に汚染された。25年が過ぎた今でも農耕地2500平方kmが汚染されており農作業ができず、国土の3%にあたる6000平方kmが出入り統制状態だ。
チブルコ ニコライ チェルノブイリ災難復旧局副局長は「農耕地汚染面積は初期に比べれば8分の1水準に減った」として「ドロマイトなどを撒いて農作物が放射性物質を吸収できないようにするなどの浄化過程を経て栽培可能面積が増加している」と話した。
だが、環境団体は安全性に疑いを捨てていない。エコドーム(エコホーム)のイリーナ スヒ顧問は「以前に汚染地帯で育てた農作物を他の地域の農作物と混ぜて販売されるなど、原産地情報がきちんと提供されていない」として「極微量なら安全だと言っても人々の恐怖は去らなかった」と主張した。
国際原子力機構(IAEA)はチェルノブイリ事故による癌死亡者が4000人と明らかにした。だが、民間科学者で構成された‘チェルノブイリに反論するもうひとつの報告書’(TORCH)はベラルーシだけで1万8000~6万6000人に癌が発生したか、あるいは発生するものと見ている。ベラルーシ政府資料によれば、1986年から2004年まで18才以下の子供・青少年2430人から甲状腺癌が発見され、最も数が多かった1995~96年の患者数は1986年の39倍に達した。特に甲状腺癌は潜伏期が長く20年も経って最近では20代の甲状腺癌発病率も増加している。(グラフ参照)
当初憂慮した致命的な健康被害は現れなかったものの病気に対する恐怖により引き起こされた社会的混乱は長い後遺症を残している。エブゲニアのママ イリーナは「幼い時の多くの友人が甲状腺癌と心臓病にかかった」と話した。幼い時から森には入るな、泥んこ遊びをするなという話を聞いて大きくなった彼女も、今はママになり娘を療養施設に送り、娘に同じ話をしなければならない境遇になった。 ミンスク/文・写真 ナム・ジョンヨン記者 fandg@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/475269.html 訳J.S