米国の陸軍長官が、国防長官の国防総省運営に対する懸念をトランプ大統領に訴え、辞任した。国防長官はまたも少将への進級が確定していた7人の陸軍将校の解任を推進しており、陸軍内で不満が高まっている。
米メディア「アトランティック」は先月31日(現地時間)、複数の消息筋の話を引用し、ダン・ドリスコル陸軍長官(40)が先週ホワイトハウスでトランプ大統領と面会し、ヘグセス国防長官による大量解雇や昇進外しなどが原因で生じた陸軍高位職の空白が深刻であるとの意見を伝えたと報じた。ドリスコル長官は、そのことによって陸軍が推進すべき革新が支障をきたしているとして、大統領に辞意を表明した。ある消息筋によると、トランプ大統領は高位職の空白の規模に驚き、指揮部の急激な縮小に懸念を示したという。
ヘグセス国防長官は「ウォーク(社会正義に目覚めていること)」、「PC(ポリティカル・コレクトネス=政治的正しさ)」などの進歩的理念を軍から排除する「文化戦争」を展開するとして、黒人や女性の高位将校を解雇したり昇進から除外したりしており、それに同調しない将校にも圧力を加えて追い出すという人事政策を繰り広げている。バンス副大統領のイェール大学ロースクールの同窓生で、長年親交がある陸軍元中尉のドリスコル長官も、このことに耐えられなかったわけだ。ドリスコル長官は、ウクライナ戦争で広く用いられてきた無人機戦力を近代化する事業を主導してきた人物。アトランティックは、解任と人事処置により、全世界で45万人の兵力を運用する米陸軍を史上最も少ない将官が率いることになったと指摘した。
ヘグセス長官による人事「刷新」は続いている。ニューヨーク・タイムズはこの日、ヘグセス長官が陸軍の高位幹部人事委員会で少将への進級が確定していた7人の陸軍将校の解任を進めていると報じた。うち2人は黒人、2人は女性。ヘグセス長官が解雇または昇進から外した将校は80人以上にのぼる。
准将への昇進対象から最近除外されたイタリア駐留の第137空挺旅団の高位将校は、所属部隊で女性空挺部隊員のためのメンタリンググループの存在を認めたこと、女性のみからなる空挺訓練を実施したことが口実となった。ある陸軍関係者によると、このような政策はこの将校が着任する前から存在していたが、こうした事情は反映されなかった。女性の進級予定者は、情報を分析して空爆対象を選定するメイブン・システムの開発に主導的な役割を果たした功績が認められて進級対象となったが、昇進から外れた理由ははっきりしない。
ドリスコル長官の辞任により、陸軍には米上院の承認を得た指揮官が1人もいなくなった。クリストファー・ラニーブ陸軍参謀総長代行(副参謀総長)は、共和党の一部の反対によって上院の承認を得られていない。
さらに、米軍内で非白人が40%を超える中、軍の指導部はほとんどが白人男性で占められているという不均衡に対する懸念も高まっている。ニューヨーク・タイムズは、今年の米軍将校・提督昇進者の女性の割合は4%(201人中8人)で、過去25年で最低水準だと集計している。