米国と日本が先月31日、外国為替市場に協調介入した。40年ぶりの安値に急落した円を支えるためだった。米財務省はニューヨーク連邦準備銀行を通じて外国為替安定基金のユーロを売却して円を買い入れ、日本財務省と日本銀行は約13兆8000億円を投入した。米日両国の通貨当局が円の買い入れで手を組んだのは、1998年のアジア金融危機以来28年ぶりのこと。介入直前に1ドル=164円に迫っていた円相場は、8月3日には一時155円台まで値上がりした。
ベッセント米財務長官が掲げた大義名分は、「アジア通貨ドミノ」の阻止だった。ベッセント長官はCNBCとのインタビューで、「1997〜98年のアジア金融危機の一部は、過度な円安がその引き金となった」とし、「円の安定は米国だけでなく、(アジア)地域全体にとっても極めて重要だ。円が大幅に下がると他の通貨もそれに追随するだろう」と述べた。すでに韓国ウォンの過度な変動性を確認しており、中国元も過小評価されているとの見解も付け加えた。28年前と同じ事態の再発を防ぐための先制的な措置だという意味だ。
ところが、外国為替市場の専門家たちは違う見方を示している。米財務省の隠れた目標は、米国債の投げ売りを阻止することだというのだ。日本は今年5月時点で1兆1400億ドルの米国債を保有する、世界最大の海外保有国だ。円防衛に充てるドルを確保するには米国債を売却しなければならず、その売却はすでに高い国債金利をさらに押し上げる。実際、日本は保有する国債を売却せずに、連邦準備制度理事会(FRB)の外国通貨当局向けレポ・ファシリティ(FIMAレポ・ファシリティ)を通じてドルを調達した。米国がユーロを売って円を買い、日本が国債の代わりにレポ(REPO)を利用したこの精巧な仕組みは、米国が何を最も恐れているかを示している。自国の国債市場の亀裂だ。
■国家債務100%、利払い1兆ドル
米国の財政にはすでに警告灯が灯っている。国家債務は今年3月時点で31兆2650億ドルで、国内総生産(GDP)の100.2%に相当する。この比率が100%を超えたのは、コロナ禍を除けば、第二次世界大戦直後の1946年(106.1%)以来初めてのことだ。議会予算局(CBO)は、現在の傾向が続けば2030年に過去最高値を更新し、2036年には120%、2056年には175%まで急上昇すると見込んでいる。さらに恐ろしいのは、債務の絶対的な規模ではなく、その借金にかかる費用だ。昨年は国債の利払いだけで9700億ドルが支出され、今年は1兆ドルを超えるものと予想される。「責任ある連邦予算委員会」(CRFB)は、現在の金利(10年物4.6%台、30年物5.2%台)が維持されれば、利払い費用は2036年に2兆5000億ドルに増え、税収に占める利払いの割合は昨年の19%から30%に高まると推定した。つまり、税収3ドルのうち1ドルを利払いに充てる国になってしまうということだ。
ここで財政問題は金融問題へと変わる。銀行の支払能力が疑われるとバンクラン(金融機関の経営悪化や信用不安を理由に、多くの預金者が一斉に預金の引き出しに走る現象)が起こるように、政府の返済能力と意志が疑われると、債券の投げ売りが発生する。過去には、危機のたびに世界最高の安全資産である米国債に世界の資金が殺到した。ところが、昨年4月のトランプ大統領の「解放の日」関税宣言直後、ドル資産は危機の避難先ではなく震源地として扱われ、国債が売りに出された。先月、FRBのウォーシュ議長の物価安定への意志が疑われ、国債の売りが再燃した。最近の金利上昇はその余波だ。米国債の安全資産としての地位が揺らぐことは、米国の衰退を示す一つの兆候だ。
この局面から抜け出すためには、歳出削減と増税という骨の折れる財政緊縮が必要だ。ところがトランプ政権は、大規模な減税で赤字を膨らませるとともに、イランとの戦争のような果てしない軍事介入によって軍事費も増強している。今年9614億ドルである国防費を、来年は1兆5000億ドルに増額するよう議会に要請している。自傷的な関税爆弾、無謀な軍事的賭けのうえに、FRBの独立性まで損なわれている。昨年と今年の国債の投げ売りは、トランプ大統領がみずから招いたものだ。
国家債務の急増による米国の衰退が懸念されたのは、今回が初めてではない。1980年代にも同様の警告が相次いだ。しかし、1990年代の情報技術(IT)革命が生産性を引き上げ、ソ連が崩壊して国内外の環境が好転し、当時のクリントン政権による増税と歳出削減が相まって、財政は黒字に転じた。日本の追撃を振り切り、覇権国の地位を固めた背景だ。ところが、現在は条件が一つずつずれている。国家債務比率は30〜40%だった当時よりもはるかに高いにもかかわらず、政界には財政健全性を回復する意志がない。ポピュリズムの中で減税と支出拡大が同時に進められ、不要な戦争まで加わっている。何よりも、1980年代の日本とは異なり、今回の競争相手は体制や軍事力までも競い合う中国だ。
■帝国の過剰な拡張
歴史学者のポール・ケネディ氏は、1987年の著書『大国の興亡』の中で、帝国の衰退は、国力を超える軍事・安全保障上の義務を支えようとする際に発生する「帝国の過剰な拡張」によって加速すると主張した。ケネディ氏は「国家資源のあまりにも多くの部分が富の生産から流用され、軍事目的に使われるならば、長期的には国力が弱体化する」とし、手に余る領土拡大や高額な戦争介入など、過度な膨張戦略を追求する際、潜在的な利益よりもコストがはるかに大きくなる冒険になると述べた。その代表的な事例として、17世紀のスペイン帝国と20世紀初頭の大英帝国のケースを挙げた。
過剰な拡張のリスクを測る尺度としてよく用いられる指標は、国債の利払い額が国防費を上回るかどうかだ。米国ではすでに2024年からこのような現象が表れている。もちろん、逆転が始まったという事実だけで衰退を断定することはできない。過去の覇権国において、この傾向は数十年にわたって進み、決定的な崩壊は新興大国との大戦によってもたらされた。ドイツと二度の世界大戦を戦い、衰退した大英帝国がその典型だ。
第二次世界大戦以降、米国は欧州の帝国主義とは異なり、領土拡大にそれほど固執せず、コストのかからない方法で覇権を行使してきた。同時多発テロ以降、イラクやアフガニスタン侵攻など中東戦争の泥沼に陥り、8兆ドルを浪費したが、それは競合国が事実上存在しない「単極の瞬間」に支払った代償だった。ところが、今は状況が異なる。トランプ大統領は、自ら打ち出した国家安全保障戦略に従えば西半球に集中すべきだったにもかかわらず、無謀な野心を抑えきれず、再び「終わりなき戦争」に乗り出した。イランとの戦争に費やされた国防費だけでも約375億ドル(53兆ウォン)に上る。先月、ヘグセス国防長官は、武器在庫の補充など戦争費用を賄うため、670億ドルの追加予算を議会に要請した。危険水準に向かっている国家債務と財政赤字、膨張する国防費、予測不可能な対外政策が相まって、悪循環が生じている。
■米国は時間を稼げるだろうか
それでも結論を急ぐには時期尚早だ。帝国の地位は絶対的な国力ではなく相対的な国力の問題であり、比較対象である中国の勢いが以前ほどではないからだ。経済追撃研究所の最近の分析によると、世界経済に占める中国のシェアは、2000年の3.6%から2021年には18%台まで急上昇したが、「ゼロコロナ政策」の後遺症と不動産不況が重なり、2025年には16%台まで押し戻された。同研究所は、中国が20%を突破する時期を当初2026年と見ていたが、2040年代以降に先送りした。一方、米国は2010年代後半から20%台半ばを維持しており、今年も26%水準になると見込まれている。国際通貨基金(IMF)は、中国の経済成長率を今年4.4%、2030年には3.3%と推定した。それぞれ2.3%、1.8%の米国と、かつてのように大きな差は生じていない。経済力の面では、米国が相対的な衰退を相当期間遅らせる余地が残されていることを意味する。
鍵となるのは3つだ。第一に、人工知能(AI)革命が生産性をどれだけ引き上げるかだ。1990年代の情報技術革命が財政健全化の土台を築いたように、AIが成長率を構造的に高めれば、米国は時間を稼ぐことができる。一方、生産性の向上が期待に及ばず、減税や軍備拡大に偏重すれば、利子負担に苦しむことになるだろう。第二に、財政規律を回復させる政治力だ。1990年代の好転は、好環境だけで成し遂げられたわけではない。増税と支出削減という不人気な選択を敢行した政治家たちがいた。現在のワシントンに、そのような政治力があるかどうかは疑問だ。第三に、中国との対立を戦争なしに管理できるかどうかだ。歴史が示しているのは、帝国が徐々に老いて滅びるよりも、大戦争の代償を賄えずに崩壊するケースが多いという事実だ。米ユタ州立大学のコリン・フリント教授は著書『現代地政学:グローバル時代の新しいアプローチ』の中で、「世界的な指導国として活動する能力、あるいはそのように認識される権利は、世界大戦の期間中に決まる」と記した。米国の運命も、究極的には財政を破綻させるような大衝突を回避できるかどうかにかかっている。
円をめぐる米日の協調介入は、決して小さな出来事ではない。世界最強国が、同盟国の通貨を守るという名目で、実際には自国の国債市場を守らざるを得ない状況に追い込まれたというシグナルであるからだ。帝国の衰退の時計は、利払いの請求書から徐々に動き始め、ある瞬間、突然加速する。