イランがホルムズ海峡の開放を米国の事実上の降伏と結びつけた要求案を提示したことで、海峡開放の見通しが再び不透明になっている。米統合参謀本部議長とトランプ米大統領の側近らは、トランプ大統領の面子を保ちつつ、戦争から抜け出せる外交的な脱出路を模索しているという。
イラン国営「IRNA通信」の8日(現地時間)付報道によると、イランのゾルガルド最高国家安全保障委員会事務局長は声明を発表し、「米国が態度を改めない限り、海峡は開放されない」と述べた。さらに、海峡開放の6つの条件として、「いかなる言葉でもイランを絶対に脅かさず、この民族の神聖な価値を冒涜しないこと」と、「イランおよびレバノン、パレスチナ、イエメン、イラク内のイランの同盟国に対する戦争と侵略を永久に中止すること」を要求した。対イラン海上封鎖の解除▽イラン周辺からの米軍撤退▽戦争被害の賠償▽制裁と資産凍結の解除の4項目も併せて要求した。
イランのアラグチ外相も同日、報道陣に対し、「ホルムズ海峡の通航ルートの決定を含む法的メカニズムと管理に関して、オマーンと交渉が進んでおり、合意に非常に近づいている」とし、「海峡の完全な開放は、米国の(終戦)覚書違反に対する補償など、他の条件にかかっている」と述べた。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、イラン指導部が今回の交渉を、ペルシャ湾における米国の覇権を奪う好機と捉えていると分析した。同紙は、イランがオマーンと交渉中のホルムズ海峡開放の一環として、米海軍艦艇の海峡通過を阻止すると公然と脅迫したと報じた。
しかし、現実的にイランの要求が受け入れられるのは容易ではないことから、イランが極端な要求を掲げてトランプ大統領の意向を試している可能性があると同紙は指摘した。戦争の継続と中断に関するトランプ大統領の真意を探ろうとしているのだという。イスラエルのシンクタンク「国家安全保障研究所」のラズ・ジムト氏は、ソーシャルメディア「X」で、「イラン当局者によるこうした発言は、現在のオマーンとの交渉がせいぜい将来の海峡再開に向けた方策を策定することに留まるだろうというイランの見方を示している」とし、 「合意に至ったとしても、米国が覚書で約束した海上封鎖の解除や制裁緩和手続きの再開などを履行しない限り、イランもオマーンとの合意を実行しないだろう」と分析した。
米国の指導部が戦争の出口を見つけるために努力しているという報道もある。CNNは複数の情報筋を引用し、ケイン米統合参謀本部議長がここ数週間、イランとの戦争から抜け出す出口を見つけるべきだと、トランプ大統領の高官らに明確に伝えたと報じた。ケイン議長はトランプ大統領との会談に先立ち、バンス副大統領やルビオ国務長官、ラトクリフ中央情報局(CIA)長官など、考えを同じくする高官らと非公開会議を開き、状況認識を共有した。ケイン議長と高官たちは、トランプ大統領の外交的打開策を妨げることなく、国民に対して「象徴的な勝利」を収めたとアピールできる脱出策を見つけることに焦点を当てていると、同放送は報道した。米国が外交的脱出策を模索しているのは、防空ミサイルの不足により、空爆を拡大することも、多数の死傷者を出しかねない地上戦を選択することもできない袋小路に入っているためだ。
一方、イランはこの日、ホルムズ海峡でアラブ首長国連邦(UAE)の国営石油会社所属のタンカーを攻撃し、米国との衝突激化を恐れていない姿勢を見せている。オマーン外務省はこの日、イランとのホルムズ海峡航行協定に関する交渉が「前向きかつ建設的な雰囲気の中で進められている」とし、「交渉およびこれまでの進展に影響を及ぼしかねないいかなる行動も控えるべきだ」と強調し、軍事行動を控えるよう求めた。