米国のトランプ政権は、イランとオマーンがおこなっているホルムズ海峡をめぐる交渉で進展があったとして、近いうちに合意に至る可能性があると明らかにした。ただし、船舶に対するイランの管理権と、通行料の性質を持つ「サービス利用料」をめぐって米国とイランに立場の違いがあるうえ、イラン革命防衛隊の内部での反発の可能性もあるため、最終合意までには変数が残っている。
国家安全保障担当大統領補佐官を兼任する米国のルビオ国務長官は4日(現地時間)、記者団に対し、米国はイランとオマーンの交渉に関与していると述べつつ、「進展はあったが、まだ最終合意には至っていない。非常に近いうちに合意が成立することを望んでいる」と語った。
ベッセント財務長官もこの日のCNBCとのインタビューで、「今日明日にも、海峡を開放し、紛争をより正常な状態に戻す合意が成立する可能性がある」と語った。イランの通行料徴収は認められるかと問われると、直接的には答えず、「自由な通行が実現するだろう」と述べた。
しかし現在議論されている合意案は、米国が求めていた戦前の自由通航体制とは異なると言われる。AP通信はこの日、交渉内容を知る域内の2人の当局者の話を引用し、ペルシャ湾へ入る船舶はイランが管理する航路を、ペルシャ湾から出る船舶はオマーンが管理する航路を利用するという案が議論されていると報じた。これらの当局者は、船舶の安全や海洋環境の保護などに必要なコストを賄うため、「サービス利用料」を課すことも検討されていると語った。
ロイター通信もこの日、交渉にかかわったイランの高位の情報筋の話を引用し、イランが海峡に入る船舶を直接管理し、出ていく船舶に対しても必要に応じて介入することを可能にする監視権を要求していると報じた。出航する船舶はイランに事前に通知し、その後、オマーンを通じて出航許可を得るという案が議論されているという。この情報筋はこのことについて「現在議論されている全般的な構想」だと説明しつつ、「テヘランが立場を変える可能性は低い」と述べた。ただし、イランは海峡を往来する船舶をすべて規制するとの当初の立場から一部譲歩していると説明した。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は複数の仲裁者の話を引用し、イランはサービス利用料の徴収権限だけでなく、米国の攻撃が再発しないことの保障、イランの港に対する米国の海上封鎖の解除、対イラン石油制裁の緩和も求めていると報じた。一方、米国と域内の諸国は、イランのコスト徴収要求に反対しつつ、イランとその代理勢力が域内の諸国や船舶を脅かさないことを保障するよう求めているという。
米国は、イランが説明する合意案とは一線を引いている。交渉内容を知る米当局者はAPに、臨時航路が設定されたとしても、イランの承認や許可を受けたりコストを支払ったりといった方法は含まれないだろうと語った。この当局者は「どちらも航路や通航権を管理しない」戦前の状態に戻すことが米国の目標だと語った。
イラン内部の強硬派が合意を受け入れるかどうかも不確かだ。WSJは複数の仲裁者の話を引用し、ホルムズ海峡の管理を担うイラン革命防衛隊は最新の提案にまだ公式に回答していないと報じた。革命防衛隊の一部の当局者は、イランの海峡管理権主張が認められない合意は許さないと仲裁者に語ったという。彼らは、イランは依然として優位にあり、数カ月間の衝突を再開する準備もできていると主張したという。
交渉が進む中、ホルムズ海峡では船舶が攻撃される事件も発生している。英国海運貿易オペレーション(UKMTO)は、この日未明、オマーンの港湾都市アル・カサブの北東約37キロの海上で、1隻の貨物船が正体不明の飛翔体で攻撃されたと発表した。船舶の国籍、積載貨物、攻撃主体は確認されていない。