米国のトランプ大統領が11日(現地時間)、イランとの終戦合意文書が最終調整の段階にあり、数日以内に完了すると明らかにした。トランプ大統領は合意文書に署名すると同時に、ただちに米国の海上封鎖が解除され、ホルムズ海峡が開放されることになると述べ、早ければ今週末にも欧州でバンス副大統領の出席のもとで署名式が行われる可能性があるとも述べた。2日連続の攻撃と反撃を繰り広げ、全面戦争の危機に直面した米国とイランが、北中米ワールドカップの開幕日に終戦交渉の妥結へと急旋回するかたちだ。
トランプ大統領はこの日、ホワイトハウスの執務室で開かれた布告文書署名式で「イランとの戦争に関する立派な合意を成し遂げた」としたうえで、「文書の最終化の手続きが残っており、数日以内に完了するだろう」と述べた。トランプ大統領は「おそらく欧州で署名式典が開かれるだろう」とし、バンス副大統領が参加する可能性があると述べた。また、「海峡は署名と同時にただちに開かれることになるだろう」とも述べた。合意に署名すれば米国は海上封鎖をただちに解除するかとの質問にも、「そうだ」と答えた。
これに先立ち、トランプ大統領はSNSの「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、「イラン・イスラム共和国との議論がイランの最高指導部に伝えられ、承認されたという事実にもとづき、今晩予定されたイランに対する空爆と爆撃を取り消した」と明らかにした。トランプ大統領は「署名式の時間と場所はただちに発表されるだろう」とし、「今回の取引が最終化されるまで、海上封鎖は全面的に維持される」と述べた。
ただし、トランプ大統領は、イランの最高指導者の承認の有無については断定的な表現を避けた。ホワイトハウスの式典で「イランの最高指導者がこの合意を承認したのか」という質問を受けると、トランプ大統領は「私が理解しているのはそうだ」と答えた。これは、トゥルース・ソーシャルで「イランの最高指導部の承認を受けた」と書いたことに比べると、慎重な表現だ。
トランプ大統領は、合意の核心としてイランの核兵器放棄を挙げた。トランプ大統領は「われわれは、イランが決して核兵器を持たないという合意を得ている」とし、「それが、われわれがこうしたことをすべて経験しなければならなかった理由」だと述べた。さらに、「イランは核兵器を保有しないだけでなく、いかなる方法でも、核兵器を購入したり開発したりはしないだろう」とし、「この点が私にとって最も重要な部分」だと付け加えた。
この発言は、以前から知られている覚書(MOU)の草案よりはるかに強い主張だ。これまでの草案は、休戦を60日間延長し、この期間内にイラン核問題についての最終合意を推進する内容だとされた。しかし、トランプ大統領の言葉どおりであれば、イランが単なる後続の核交渉に同意する段階を超え、核兵器の保有・購入・開発の禁止原則にすでに合意したという意味になる。
トランプ大統領は合意文書の性格について、「非常に詳細な覚書」だと説明した。最終合意までの期間については、具体的なデッドラインを提示しないとしながらも、「比較的早く進むだろう」と述べた。トランプ大統領は「イスラエルのネタニヤフ首相や、カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、バーレーン、クウェートの首脳らと電話会談をした」と明らかにし、トルコのエルドアン大統領とも電話で話す予定だと述べた。パキスタンの仲介の役割も高く評価し、パキスタンの首相と軍指導部を称賛した。
今回の発表は、米国の対イラン空爆が3日目に突入する観測が高まった時点でなされた。米国は8日、ホルムズ海峡の近くで米軍のアパッチ・ヘリコプターが撃墜されたことをきっかけに9日と10日、イランに対する報復空爆を開始した。イランも湾岸地域の米軍基地と関連施設を狙った攻撃で対抗し、ホルムズ海峡閉鎖の可能性まで取りざたされ、中東情勢は休戦崩壊の直前に追い込まれた。
トランプ大統領は、この日も空爆の取り消しを発表するまでは、イランに対して強硬なメッセージを出していた。トランプ大統領はイランに対して「今夜、非常に激しく攻撃する」と脅し、イラン最大の原油輸出拠点であるカーグ島と石油・ガスのインフラを掌握できるとする趣旨の発言もした。それからわずか数時間で、空爆の取りやめと署名式が近く行われることを発表した。
トランプ大統領は、なぜ今回は実際に合意が成立すると考えているのかとの質問に「彼らが殴られたため」だと答えた。トランプ大統領は「彼らは私よりはるかに合意を望んでいる」とし、「最近、非常に激しい攻撃を受け、私はそのようなやり方は好まないが、必要だと感じた」と述べた。米国の限定的な空爆やカーグ島の掌握の可能性への言及など、軍事的圧力が交渉妥結を早めたという意味だ。
トランプ大統領はさらに、イラン指導部の変化を「事実上の政権交替」だと表現した。トランプ大統領は「われわれは第1期の指導部を除去し、第2期の指導部は別の集団であり、より賢明だ」とし、「彼らは全員、合意を承認した」と述べた。
ただし、イラン側の説明は、トランプ大統領の発表と温度差がある。イランのファルス通信は、イラン交渉チームに近い消息筋の談話を引用し、「米国との初期覚書について、いかなる文案もまだ承認されていない」と報じた。しかし、交渉妥結の可能性自体は否定しなかった。同通信は「2週間ほど前に両国の交渉チームが用意した覚書の草案がほぼまとまり、テヘランとワシントンの最終承認だけが残った状態にあった」とし、「その後、トランプ大統領が米国交渉団が受け入れたイラン側の草案に、新たに細かい条項を追加するよう要求し、イランがこれを検討しないと表明したことで、交渉が中断した」と説明した。
さらに、「カタールの仲介団が、米国が追加要求条項を撤回したと、イラン側に伝え、その後、イランの最終承認を待つ原案に戻った」とし、「米国が結果的にイランが提案した原案を受け入れることにともない、最高指導部も同様にこの文案を再検討する可能性があるとみられる」と報じた。米国がイランに対し軍事的圧力をかけて屈服させたというトランプ大統領の説明とは異なり、米国が追加要求を撤回し、原案に復帰したという意味だ。
米国ニュースサイト「アクシオス」は、交渉内容の報告を受けた消息筋3人の話を引用し、カタール仲介団が10日、テヘランで進めた交渉で、核心的な争点の意見の相違が縮まったと報じた。イラン当局者らは11日、複数の国に「テヘランでの交渉で原則的な合意に到達したが、最高指導者の最終承認が残っている」と伝えたと、同消息筋が明らかにした。