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「米国防総省も知らなかった」…トランプ大統領が在独米軍削減を突然打ち出したわけは

登録:2026-05-04 06:34 修正:2026-05-04 07:21
ドナルド・トランプ米大統領が2026年4月30日(現地時間)、ワシントンのホワイトハウス執務室で記者団に発言している/AP・聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談した直後、在独米軍の削減の可能性を言及したことで、米国防総省内部でも衝撃が広がっている。米メディア「ポリティコ」が30日(現地時間)付で報じた。

 ロシアが長年にわたり欧州内の米軍兵力の削減を求めてきた中で出た発言である上、国防当局者らと事前に共有されていなかったためだ。米国防総省が最近完了した全世界の兵力配置の見直しにも、欧州内での大規模な削減計画は含まれていなかったとされる。

 ポリティコによると、複数の国防関係者はトランプ大統領の「在独米軍の削減を検討する」という発言が出るまで、関連計画を知らなかったという。ある議会補佐官は「国防総省はこれを予想しておらず、いかなる削減も計画していなかった」とし、「第1次トランプ政権時代(2020年)にも駐独米軍の削減を真剣に推進していたことを考えると、今回の発言を軽く受け流すことはできない」と懸念を示した。

 ポリティコは「米国防総省がここ数カ月にわたり全世界の兵力配置に関する検討を進めてきたが、この過程で欧州内での大規模な削減は含まれていなかった」と報じた。今年1月に発表された米国防戦略は、欧州の同盟国が通常戦力の防衛により多くの責任を負うべきだという方向性を盛り込んでいたが、米軍の削減は欧州の防衛力増強と連動し、数年かけて調整されるべき事項と見なされてきた。

■「米国の屈辱」メルツ首相の発言に激怒か

 トランプ大統領の今回の爆弾発言は、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相と神経戦を繰り広げた直後に出た。メルツ首相は最近の懇談会で、「米国にはイランとの戦争を終結させる明確な戦略がなく、テヘランの交渉の場で屈辱を味わった」と批判した。これに激怒したトランプ大統領は28日、ソーシャルメディアへの投稿で、メルツ首相がイランの核武装を黙認していると激しく非難したうえ、29日には駐独米軍の削減というカードを突如として切り出した。

 プーチン大統領との電話会談直後にこの発言が出たという点も物議を醸している。ロシアはNATOの東方拡大と欧州内の米軍駐留を問題視し続けてきたが、実際に削減が行われた場合、NATOの東部戦線の抑止力だけでなく、ロシアに誤ったシグナルを送る恐れがあるためだ。

ドナルド・トランプ米大統領が4月30日(現地時間)、米ワシントンのホワイトハウス執務室で記者団に話している=ワシントン/ロイター・聯合ニュース

 国防総省が困惑しているもう一つの理由は、在独米軍が米国のグローバル軍事戦略において欠かせない中核のインフラであるためだ。ドイツには約3万5000~3万6000人の米軍が駐留しており、ラムシュタイン空軍基地、シュトゥットガルトの米欧州軍司令部とアフリカ軍司令部、ラントシュトゥール陸軍病院など、米国の主な軍事インフラが集まっている。ラムシュタインを含むカイザースラウテルン軍事コミュニティは、米国本土以外で最大規模の米軍コミュニティであり、軍人、民間人、家族などを含め5万人以上が関わっている。

 これらの施設は、イラク・アフガニスタン戦争だけでなく、現在のイラン戦争を支援する重要な役割を担ってきた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、米空軍がイランへの攻撃の際にラムシュタインから直接戦闘任務を遂行したわけではないが、同基地が米国・欧州・湾岸地域を結ぶ空中橋梁の中心軸としての役割を果たしたと報じた。また、ドローンや長距離打撃の調整のための指揮・通信・データ伝送の中核拠点として機能したと報道した。

■駐独米軍の削減、果たして実現可能性は?

 ベン・ホッジス元米陸軍欧州司令官はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、「ドイツや欧州の米軍はドイツ人を守るためのものではない」とし、「兵站作戦や訓練場などの米国の資産は、米国のためのものであり、他の誰のためのものでもない」と語った。米国のシンクタンク「ジャーマン・マーシャル財団」の大西洋安全保障専門家のクラウディア・メイジャー氏も同紙に対し、「兵力の多くはNATOの兵力ではない。彼らは米国の利益に奉仕している」と指摘した。

 実際、削減は容易ではないとみられる。最近制定された国防授権法は、国防総省が安全保障への影響を評価し、米国の国益に合致することを認めるまでは、欧州内の米軍兵力を7万5000~7万6000人以下に削減できないことを明記している。2020年の最初の任期中に下された1万1900人の撤退指示が頓挫したのも、議会が関連予算を承認しなかったためだった。

 移転費用も莫大だ。部隊を移すには、単に兵営だけでなく、訓練場、整備施設、家族用住宅、学校、民間支援インフラまで新たに整備しなければならない。ポーランドなどの東欧諸国は親米傾向が強いが、ロシアに近いNATOの東部国境に位置しており、大規模な中核基地を移転するには負担が大きい。国防予算の専門家である米国企業研究所(AEI)のトッド・ハリソン研究員はポリティコに対し、「ポーランドには部隊を受け入れる施設がなく、これを構築するには非常に長期的な建設費がかかるだろう」と指摘した。

 ドイツのヨハン・ヴーデフール外相は、米軍の削減の可能性について、「過去の米国大統領たちからも提起されたことのある、決して真新しい話ではない。準備はできている」としつつも、「同盟国間では当然のこととして、米国の決定は我々や他の同盟国と協議されるだろう」と述べた。特にラムシュタイン空軍基地について「米国と我々双方にとって欠かせない機能を果たしている」とし、大型の米軍基地は「協議の対象ではない」と強調した。

ワシントン/キム・ウォンチョル特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1256831.html韓国語原文入力:2026-05-02 00:46
訳H.J

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