「完全に大統領の気まぐれで始めた戦争だ」
イラン戦争が始まって1カ月を迎えた28日(現地時間)午後、ワシントン中心部を東西に横切るナショナルモールの東端に「ノー・キングス(No Kings・王様はいらない)」と叫ぶ大規模なデモ隊が集まった。昨年の6月、10月に続き、3回目となる全国規模の反トランプ集会が開催され、全米50州をはじめ欧州の主要都市まで、合計で3200カ所以上で行われた。主催側は、現代米国史上最大規模の非暴力行動になると見込んでいる。
■「戦争はトランプ政権の権力乱用」
ワシントンに住むロブさんはこの日、ハンギョレの取材に応じ、「この政権は法の支配を踏みにじり、司法制度を政治的に利用している。法の支配が崩れると、私たちには何も残らない」とし、集会に参加した理由を説明した。ロブさんは特にイラン戦争に関して「議会と協議したり国民を説得したりする過程もなく、ただ大統領の気まぐれで始まった違法な戦争」であり、「権力濫用の典型」だと声を荒げた。
メリーランド州で地下鉄に乗ってデモ現場を訪れた弁護士のダイアン・レイモンドさんも、ハンギョレの取材に対し、「歴史が繰り返されている。過去にヒトラーが権力を握ることを可能にした事柄が、現在の議会と内閣でも同様に起きている」と懸念を示した。一緒に参加したパトリックさんも「現政権は憲法に従わず、法律を無視し、法務省を事実上私物化した。米国人の大多数が彼らの行動に同意していないことを示すため、ここに来た」と語った。
当日、会場には動物のコスチュームを着た参加者が目を引いた。「デモ隊はテロリストだ」というトランプ政権の主張を嘲笑し、デモの平和的性格を強調するためだという。
猫のコスチュームを着て現場に現れたメリーランド州ベセスダ出身のジェニファーさん(59)とワシントン在住のジョアンさん(76)は、ハンギョレの取材に応じ、「イラン戦争だけでなく、移民弾圧や報道・表現の自由の抑圧など、懸念すべき点は一つや二つではない」と話した。特に彼女らは、トランプ大統領が強く求めている「投票時の身分証明の提示を義務付ける法(セーブ・アメリカ法)」を強く批判した。ジェニファーさんは「出生証明書やパスポートの提示を求めることは、少数民族や既婚女性、高齢者、特定の国籍を持つ移民など、民主党支持層の有権者を意図的に抑圧し排除しようとする試みだ」と指摘した。
■10万人が集結、ミネソタで怒りが爆発
この日の「ノー・キングス」集会のメインステージは、1月に連邦捜査官による大規模な移民取締りの過程で2名の市民が命を落としたミネソタ州セントポールだった。州議会前だけで約10万人(主催側推定)が集まった。
ティム・ウォルズ州知事は「ホワイトハウスの独裁者志望者が暴力団を送り込んだとき、ミネソタは隣人たちと品位を保った」と演説した。さらに、ロックの伝説ブルース・スプリングスティーン氏が犠牲者を追悼する抗議曲「ミネアポリスの街(Streets of Minneapolis)」を歌うと、デモ隊は「ICE(移民関税捜査局)は今すぐ出ていけ」と叫び、歓声を上げた。バーニー・サンダース上院議員や俳優のジェーン・フォンダ氏なども集会に参加した。
ニューヨークのタイムズスクエアやマンハッタン周辺では、ニューヨーク州のレティシャ・ジェームズ検察総長と俳優のロバート・デ・ニーロ氏が先頭に立った。デ・ニーロ氏はトランプ大統領を「我々の自由と安全保障に対する実存的な脅威」だとし、ただちにブレーキをかける必要があると強調した。民権活動家のアル・シャープトン牧師は、デモに先立ち26日に開かれた記者会見で、「これは単なる抽象的なデモではなく、人種や階層を超えた一つの運動だ」と強調し、「投票権と民主主義を守れなければ、私たち全員が黙らされるだろう」と訴えた。
この日の第3回「ノー・キングス」デモは、昨年10月に約2700か所で行われた第2回デモよりもはるかに拡大した。伝統的な共和党の拠点であるテキサス州、アイダホ州、ジョージア州の小都市でも市民が街頭に出て星条旗を振り、パリ、ベルリン、マドリードなど欧州でも同時多発的な集会が開催された。
ホワイトハウスは今回のデモを過小評価した。ホワイトハウスのアビゲイル・ジャクソン報道官は公式声明で「このような『トランプ精神異常治療セッション』に関心を持つのは、金銭を受け取って記事を書くメディアだけだ」と一蹴した。