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慶州APECでの会談を目前に…貿易戦争に火をつける米中

登録:2025-10-13 09:50 修正:2025-10-13 10:46
中国のレアアース規制に…米「100%関税」で対抗
中国江蘇省の連雲港で、輸出するためにレアアースの含まれている土壌を運ぶ労働者たち。2010年10月31日撮影=連雲港/ロイター・聯合ニュース

 中国によるレアアース輸出規制の強化に対して、米国が直ちに100%の関税と重要ソフトウェアの輸出制限を予告したことで、両国の間の貿易紛争は休止期を終えて改めて全面対決へと転じる兆しを見せている。中国は12日、米国が関税賦課に固執すれば「必ず断固として対応する」と対決姿勢を示した。2週間後に迫ったアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議で両国首脳が顔を合わせるかどうかも不透明になっている。

■中国、「米国はダブルスタンダード」

 中国商務省はこの日、記者との質疑応答のかたちをとった声明で「中国が発表したレアアース関連品目の輸出規制措置は、法律と規定に則って慎重かつ適切なやり方で実施している」が、「米国は国家安保概念を乱用するとともに、輸出規制を誤用して中国に差別的な措置を取った」と主張。そして、トランプ大統領による中国製品に対する100%関税賦課とすべての重要ソフトウェアの輸出規制方針は「典型的なダブルスタンダード」だと指摘した。

 中国商務省は、米国が中国に対する新たな制限措置を発表し続けていることに反発している。報道官は「先月の会談から20日あまりの間に、米国は多数の中国企業を輸出規制リストおよび特別指定国民(SDN:国家安保の脅威などを名目として指定した米財務省外国資産管理局の制裁対象)リストに記載した」と述べた。輸出規制の対象企業の子会社にまで規制範囲を拡大し、数千社の中国企業に影響を及ぼしていることにも言及した。

 また、米国は自国法を根拠として他国企業などの行動を制限する「ロングアーム(long-arm)管轄」を実施していると指摘した。特に半導体装置やチップに対する輸出規制措置は企業の正当な権益を損なうとともに、グローバルサプライチェーンの安定を深刻に破壊していると強調した。同時に、米国の輸出規制リストは3千以上にのぼるが、中国の規制リストは900あまりにとどまると説明した。

 商務省は対話を続ける意思を示しながらも、「関税戦争は望まないが、恐れもしない」と述べた。報道官は「両国首脳の電話会談における重要な合意を実行するとともに、苦労して積み上げてきた交渉の成果を維持すべきだ」と述べる一方、「対話を通じて互いの懸念を解決し、紛争を管理しよう」と述べて交渉の余地を残した。ただし「米国が意地を張って誤った道を行くなら、中国は必ず断固とした対応措置を取って正当な権益を守る」と述べた。

■首脳会談を前に「奇襲」…トランプ「本当に驚いた」

 9日の中国によるレアアース輸出規制強化の発表に対し、トランプ大統領は翌日、「驚くべきこと」、「見たことのない措置」などの表現を何度も用いて失望を示した。「関税引き下げ」と「レアアース輸出規制の解除」をやりとりして休戦し、まもなく行われる首脳同士の対面で細部を詰めることを期待していたトランプ大統領は、突然の休戦破棄宣言と受け取ったようだ。

 中国の今回の措置は、米中首脳会談をわずか数週間後に控えて発表された。今回の首脳会談は、両国間の包括的な貿易合意の細部を調整する重要な場になると予想されていた。この交渉で米国の最重要武器である「半導体と人工知能(AI)チップに対する輸出規制権」を弱めるためには、中国も「レアアースに対する輸出規制権」を強化せざるを得なかったのだろうという分析が示されている。

 国際経済の専門家で米外交問題評議会(CFR)シニアフェローのジョナサン・ヒルマン氏はブルームバーグに、「中国は今年初めの輸出規制による反応と力を記憶している」とし、「交渉で改めてそれを利用しようとするのは驚くべきことではない」と語った。バイデン政権時代に国家安全保障会議の国際経済局長を務めたジェフリー・ガーツ氏も、ニューヨーク・タイムズに「中国は今すぐ輸出を全面中断するわけではないが、必要時にはそれも行いうるということを強調している」として、「これは交渉のテーブルにつく米国に銃を向けるようなもの」と述べた。ランド研究所のシニア研究員を務めるブラッドリー・マーティン氏は米ニュースメディア「ポリティコ」に、「中国は、米国は短期間にこれに対応できないだろうということに賭けている」との診断を述べた。

 4~5月の貿易紛争のように両国が合意に至れるかは未知数だ。米中両国はすでに半導体、農産物、港湾利用料などの様々な分野で衝突している。とりわけ戦線が形成されるのが今回で2度目となるレアアースは、米国の軍事・技術産業にとって要となる資源だ。中国が代価として米国の半導体輸出規制の緩和に加え、台湾政策の転換まで要求しているとする報道もある。中国による一部のレアアース輸出制限は長期化する可能性が排除できない、とする分析が有力だ。

 トランプ大統領が予告した関税の実施日は来月1日だ。トランプ大統領は10日(現地時間)夜、「習主席との会談はまだ行われる可能性がある」として、11月1日に関税発効日を設定したのも交渉の余地を残すための戦略だと説明した。「会う必要はない」という立場から若干引いたとみられる。中国も「グローバルサプライチェーンの安定を保障するためのメカニズムを米国と共に作りたい」というのが公式の立場だ。両国の間では、APEC直前まで激しい水面下の協議が展開されるとみられる。

ワシントン、北京/キム・ウォンチョル、イ・ジョンヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1222925.html韓国語原文入力:2025-10-12 22:31
訳D.K

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