米国の介入でイランとイスラエルは停戦に合意したが、米国とイスラエルが空爆の理由に掲げたイランの核に対する結論はなかった。米国とイスラエルはイランの主要核施設をすべて破壊したとし、イランは被害が軽微だと主張している。これに対し、今回の戦争がイランの核開発の速度を遅らせることはできても、核開発自体を中止させることはできないだろうという見通しも示されている。
J・D・バンス米副大統領は23日(現地時間)、米国の「FOXニュース」に出演し、「我々が装備を破壊したため、イランはもはや彼らが保有した装備で核兵器を作る能力がない」と述べた。
しかし、イランは核活動を続けるという立場を明らかにした。24日、イラン原子力庁(AEOI)のモハマド・エスラミ庁長がイラン国営通信社(IRIB)に「核活動の復元に向けた一連の準備をあらかじめしておき、原子力産業の生産・活動の過程を中断させるいかなる方法も防ぐ計画が立てられた」とし、「攻撃を受けた核施設に対する被害規模を調べている」と明らかにした。
重要なのは、フォルドゥの施設にあったと推定される「60%濃縮ウラン400キログラム」の行方は把握されていないことだ。核兵器9個を製造できる90%濃縮ウランを作れる量だ。米国の空爆前、フォルドゥの施設付近に16台のトラックが接近した情況が捉えられた。濃縮ウランを保有し、核技術力が維持されるなら、イランが核開発を放棄する可能性は少ないとみられる。
イランが高濃縮ウランを保有している事実が確認され、実際の核活動を復元する動きが捉えられれば、米国とイスラエルはまた「核脅威」を口実に空爆のきっかけを探しうる。紛争の火種はいつでも復活する可能性があるということだ。
イランは、国際原子力機関(IAEA)の体制下でイランの自衛権の確保が事実上不可能であることを確認したため、核拡散禁止条約(NPT)を脱退しなければならないと主張する強硬派が勢力を伸ばす可能性もある。脱退すれば、IAEAの査察義務が自動的に終了し、再び国際社会から経済制裁を受ける可能性がある。北朝鮮は、核開発疑惑に関してIAEAが特別査察を要求したことを受け、2003年1月に脱退を宣言した。米国の空爆後の22日、イラン議会はIAEAとの協力を全面中断する内容の法案を承認しており、これも解決しなければならない問題だ。
イランの核合意はさらに不透明になった。2015年に米国をはじめとする国連安全保障理事会常任理事国5カ国とドイツがイランと妥結した「イラン核合意」(JCPOA・包括的共同作業計画)では、イランのウラン濃縮水準を3.67%に制限した。しかし、ドナルド・トランプ米大統領が2018年にイラン核合意を一方的に脱退した後、イランもウラン濃縮水準を60%まで高めた。
第2次トランプ政権発足後に進められていた米国とイランの核交渉でも、ウラン濃縮権限が争点だった。米国は、イランの民間の原子力エネルギー使用とウラン濃縮能力を持つことは別問題だと主張している。これについて米国は、イランが望む民間原子力エネルギーに必要なウラン濃縮も認められないという立場だ。核兵器製造が可能な90%の高濃縮過程まで進めることは難しくないとみているためだ。結局、合意点を見出せないまま、第6回交渉を控えてイスラエルがイランを奇襲空爆し、12日間の戦争が始まった。ロシアのセルゲイ・リャプコフ外務次官は23日、ロシアの「イズベスチヤ」とのインタビューで、2015年に締結されたイラン核合意と関連して、「この合意を復元するための条件が見当たらない」とし、事実上合意は不可能だろうとの見通しを示した。