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イランとの交渉か、核施設への爆撃投下か…秒読みに入ったトランプ大統領の選択

登録:2025-06-18 06:43 修正:2025-06-18 08:03
ドナルド・トランプ米大統領が16日、カナダのカナナスキスで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)をイラン・イスラエル戦争を理由に切り上げ、ホワイトハウスに戻るために専用機に向かって歩いている/AP・聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領の対外政策がイランとイスラエルの交戦で大きな分水嶺を迎えている。イスラエルの対イラン攻撃に参加するか、イランとの核交渉のテーブルに座って外交で紛争解決の糸口をつかむかを選択しなければならない。問題は、いかなる選択も結果を断言できないという点にある。

 米紙ニューヨーク・タイムズは16日(現地時間)、「イランをめぐるトランプの選択肢、最後の外交か、バンカーバスター爆弾か」という見出しの記事で、トランプ大統領がイランと核交渉に乗り出すか、それともイスラエルを支援してイランのポルド地下核施設を破壊する大型バンカーバスター爆弾を投下するかの選択を迫られている状況だと報じた。

 イスラエルはイランの核開発阻止を名目に爆撃を行っているが、山奥の地下約80メートルに位置するポルドの核施設はほとんど打撃を受けていない。イランの核施設の中核とされる同施設を打撃できる兵器は、米軍だけが保有しているバンカーバスター「GBU57」が唯一とされる。GBU57は、ブッシュ政権時代の2004年、イランと北朝鮮が山中に隠した核施設を打撃するために開発された爆弾。重さ3万ポンド(約13.6トン)にのぼるこの爆弾を搭載できる爆撃機も、米軍が保有しているB2が唯一だ。イランの核施設を完全に破壊するためには、同じ場所に何度もこの爆弾を落とさなければならない。戦闘爆撃機の操縦と投下も米軍が行うしかなく、これはイスラエルのイラン攻撃に米国が直接加担することを意味する。他のメディアも、イスラエルは開戦初期からトランプ大統領にこのバンカーバスター爆弾の投下を要請したが、トランプ大統領が拒否してきたと報道した。

 米国がイスラエルの対イラン攻撃に直接加担すれば、イランは中東地域の米国関連施設に対する攻撃、さらにペルシャ湾のホルムズ海峡を封鎖する可能性が高い。世界の石油の物流量の6分の1、ガスの3分の1が行き来する道が塞がれるわけだ。新たな戦争を始めないという方針を掲げたトランプ大統領がこのような選択をするならば、自ら公言してきた対外政策の破綻を意味する。

 トランプ大統領はこれまで、イスラエルの攻撃をかばう一方で、イランに交渉を迫ってきた。イスラエルの攻撃をイランとの交渉用に使おうとしているものとみられる。

 トランプ大統領は16日、主要7カ国首脳会議(G7サミット)の会場を後にする前にも、「彼らは妥協を望んでいる。ここを離れたら、私たちはすぐ何かを行う」と述べ、交渉を強く示唆した。妥結を仲裁するのに役立つなら中東に行くのかという質問には、「今話し合っている (…)直接対話することはいつも良いことだ」と答え、対話が行われていることも示唆した。

 実際、今週は中東のスティーブ・ウィトコフ特使とイランのアバス・アラグチ外相の会談をめぐり、ホワイトハウスとイランが調整中という報道も出た。「アクシオス」はこの日、4人の消息筋の話を引用し、「核合意およびイスラエル・イラン戦争の終息に関する外交的提案を議論する」と報道した。

 イランも米国との交渉の用意があることを伝えたと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が同日伝えた。イランは、米国がイスラエルの軍事作戦に参戦せず、イスラエルが攻撃を中止する条件で、交渉に参加する用意がある旨を米国側に伝えたという。

 両国間の交渉が始まっても、イランのウラン濃縮問題は依然として残る。イランはウラン濃縮を認められないというトランプ大統領の要求に屈していない。イランのアラグチ外相は「我々は核兵器(開発を)を目指さないというどんな協定にも準備ができている」とする一方、イランの核権利を奪ういかなる取引も受け入れられないと述べた。

 最終的には、交渉が始まれば、米国はトランプ大統領が破棄したイランの核問題に関する包括的共同作業計画(JCPOA)と似たような合意をするしかないだろうというのが大方の予想だ。

 トランプ大統領はバンカーバスターでイランの核施設を打撃するか、イランと交渉を妥結できるかの岐路に立たされている。一つ確かなのは、バンカーバスター爆弾の使用という決定を下すには、まだ「最後の外交チャンス」が残っており、トランプ大統領がこれを捨てた場合、彼の対外政策も道に迷うことになるという点だ。

チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1203325.html韓国語原文入力: 2025-06-18 00:01
訳H.J

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