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米共和党は13日（現地時間）、演説会場で銃撃されたドナルド・トランプ前大統領の安全が確認された直後から、トランプ前元大統領が耳から血を流しながらも支持者に向かって拳を振り上げる写真をSNSでシェアし、強い指導者としての面貌を強調している。写真はトランプ前大統領の長男がXに掲載した写真/聯合ニュース

　ドナルド・トランプ前米大統領の演説途中に発生した銃撃事件が、大統領選挙の流れと米国政治全般に及ぼす影響も注目される。

　トランプ前大統領は銃弾が右耳に当たったにもかかわらず、数時間後に病院を退院できるほど、大きなけがはしなかった。しかし、前大統領である大統領選候補を狙ったとみられる銃撃が発生した事実と、銃弾が命を奪ったかもしれない可能性もあることから、今回の事件は大きな波紋を広げるものとみられる。

　トランプ前大統領側が今回の銃撃を「悪辣な」行為だと非難した中で、トランプ前大統領は毅然とした姿で、支持者を督励した。トランプ前大統領は銃撃を受けて演壇の下に身をかがめてから立ち上がる際、帽子が落ちて慌てた様子を見せたが、まもなく警護員に囲まれ拳を振り上げながら「戦おう」と叫んだ。この様子に、聴衆が「USA」を叫びながら声援を送る場面もあった。

　トランプ前大統領は数時間後、ソーシャルメディアを通じて当時の状況を伝え、聴衆が死亡したことに触れ、遺族と負傷者にお悔やみを述べた。また「シークレットサービスをはじめ治安当局の迅速な対応に感謝する」と述べた。

　政治的得失からすると、今回の事件は他のイシューを帳消しにし、少なくとも短期的にはトランプ前大統領に有利な局面を作るものとみられる。トランプ前大統領は昨年、さまざまな事件で起訴されたが、支持者らが結集し、選挙資金の募金が増加する逆説的な状況を経験した。トランプ前大統領の選挙キャンプは5月末、不倫の口止め料関連事件の有罪評決後も選挙資金の寄付が増えたと明らかにした。

　「ポリティコ」は共和党の下院議員であるデレク・バンオーデン氏が銃撃事件後「トランプは先ほど選挙で勝利した」と述べたと報じた。同メディアは、他の議員たちはトランプ前大統領が大統領選挙で勝つと確言こそしなかったものの、有利な局面が作られたという意見は多く見られたと報道した。

　このような中で、ジョー・バイデン大統領だけでなく、カマラ・ハリス副大統領、民主党のハキム・ジェフリーズ下院院内代表も「政治暴力は容認できない」という声明を出した。バラク・オバマ、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ元大統領もこのような立場を発表した。匿名を求めたバイデン大統領陣営の関係者は、トランプ前大統領を非難するテレビ広告の中止を検討していると、ワシントンポスト紙に語った。

ドナルド・トランプ前米国大統領が13日、ペンシルバニア州バトラーで銃撃後、耳を怪我して血を流しながら警護員に囲まれて演説会場を後にしている＝バトラー/AP・聯合ニュース

　銃撃犯が誰で、どんな動機だったのかも状況展開に大きな影響を及ぼす可能性がある。ホワイトハウス警護局の厳重な警護を受ける前大統領に向かって、演説場所近くの屋根から突撃銃（アサルトライフル）の形の銃器で銃撃を加えたのは、緻密な計画によるものとみられる。

　政治の二極化が進みバイデン大統領との対決が加熱する状況で発生した今回の事件で、米国の政治・社会的緊張はより一層高まる見通しだ。米国政治の深刻な対立は、2020年の大統領選挙直後にトランプ前大統領が結果に従わず発生した「1・6議事堂乱動」事件で、どれほど危険なレベルに達したかが明らかになった。今回もトランプ前大統領の支持者が銃撃自体を非難し、これに関する陰謀論を唱え、過激な行動に出る可能性を排除できないとみられる。

　トランプ前大統領の側近たちは相次いでX（旧ツイッター）に投稿し、バイデン大統領側に責任を転嫁した。副大統領候補として取り上げられているJ・D・バンス上院議員は「バイデン側の選挙運動の前提は、トランプ大統領がどんな代償を払ってでも防ぐべき専制的ファシストということだ。こうした主張がトランプ大統領暗殺の試みにつながった」と主張した。マージョリー・テイラー・グリーン下院議員も「民主党はこのようなことが起きることを望んでいた」と述べた。

　結局、トランプ前大統領との初めてのテレビ討論後、民主党大統領候補辞退論に苦しむバイデン大統領にとっては、今回の事件がもう一つの悪材料となる可能性があるとみられる。