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イスラエル・ハマス、休戦めぐり水面下で交渉…劇的な突破口探る

登録:2024-04-30 07:24 修正:2024-04-30 08:31
AFP「ハマス、休戦・人質交換案に対して返答するだろう」
20日(現地時間)、パレスチナのガザ地区最南端のラファにあるクウェート病院で、イスラエルの爆撃で負傷した子どもが治療を受けている=ラファ/AFP・聯合ニュース

 ガザ地区最南端の都市ラファに対するイスラエル国防軍(IDF)の地上攻撃が差し迫っているという危機感に包まれるなか、イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスが、エジプトやカタールなどの仲介国とともに、水面下で交渉を進めている。昨年11月から成果を出せずにいる休戦交渉に糸口が見いだせるかに注目が集まっている。

 AFP通信によると、29日(現地時間)にハマスの代表団がエジプトに到着し、最近イスラエルが提案した休戦と人質交換案に対する返答を出すものとみられる。エジプトはカタールや米国などとともに仲裁者の役目を果たし、昨年11月には休戦交渉を成功させ、現在も引き続き両者の交渉の橋渡しをしている。エジプトはラファと国境を接しており、イスラエル軍が地上攻撃を強行した場合、パレスチナの住民たちが国境を越えてくる可能性があるという危機感を感じており、休戦交渉を積極的に進めている。

 AP通信と「タイムズ・オブ・イスラエル」の報道によると、イスラエルは13日、ハマスの提示した休戦協議案に対する立場をエジプトとカタール側に伝え、議論が軌道に乗った。約2週間後の26日、エジプトの最高クラスの代表団がイスラエルを訪れ、協議を継続した。エジプト当局は、イスラエルとガザ地区の休戦のために「新ビジョン」を議論したことを明らかにし、それからわずか数時間後の27日、ハマス側は声明を出し、自分たちが仲介国を通じて「イスラエルの提案」を受け検討に入ったと述べた。

26日(現地時間)、パレスチナの子どもたちがガザ地区最南端のラファと接するエジプトの国境前に集まっている=ラファ/AFP・聯合ニュース

 詳細な内容は公開されていないが、今月初めに交渉団が、6週間の休戦▽イスラエル人の人質40人とパレスチナ人収監者数百人の対等交換などについて議論しただけに、似たような内容が含まれる可能性が高い。交渉団は、イスラエル当局と人質および収監者の対等交換、国境内の避難民となったパレスチナ人を故郷であるガザ北部に帰還できるようにする案を議論したと、エジプト政府関係者がAPに明らかにした。避難民が故郷に戻る際、「最小限の制限」のみにしようという内容だ。

 イスラエル側では、南部にいるハマスの戦闘員が避難民の列に混じって北部に移動する可能性を考慮しており、この内容に同意するかどうかは未知数だ。イスラエル側は、ハマスがラファで武器を密輸するため、地上戦でこれを根絶するという主張を繰り返している。ただし、休戦案が妥結されれば、地上戦の計画を「先送りする」ことはありうるというのがイスラエル外務省側の説明だ。ハマスはこれまで、一時的な休戦ではなく永久的な休戦とイスラエル軍の完全な撤収の立場からは引かない意向を示していたが、ハマスの幹部はこの日AFPに対し、休戦案に「大きな問題はなく」同意する方向だと述べ、「イスラエルから新たに妨害を受けない限り、前向きな雰囲気がある」と伝えた。

 交渉が決裂しても、イスラエルは地上戦の計画を強行することには慎重にならざるをえない。最大の友好国である米国がこれに反対しており、実際に作戦を開始した際に返ってくる国際社会の圧力も強いと予想される。米国のジョー・バイデン大統領は前日にもベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話会談を行い、ラファでの地上戦に対する「明確な」反対の立場を明らかにした。米国のアントニー・ブリンケン国務長官は、サウジアラビアやヨルダンなどを経て、30日にイスラエルを訪問する。休戦交渉とガザ地区に対する人道支援が議題となる。

 水面下での交渉が進められる一方で、イスラエル軍はラファ近隣のガザ地区南部に戦車と装甲車数十台を配備し、空爆を繰り返している。そのため先週末、少なくともパレスチナ人13人以上が死亡した。27日早朝、ラファのテルスルタン地区に対する攻撃で一家5人が死亡し、8歳、10歳、12歳の子どもたちと夫人が含まれていたと、アブ・ユス・アルナジャフ病院の霊安室の関係者が明らかにした。同じ日、一家6人を含む7人もイスラエルの空爆で死亡した。

ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/1138630.html韓国語原文入力:2024-04-30 00:08
訳M.S

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