パレスチナの武装勢力ハマスが10月7日にイスラエルを奇襲攻撃した当時、イスラエル人を対象に残酷な性犯罪を犯したという証言が相次いでいる。ジョー・バイデン米大統領は「皆がこれを強く糾弾しなければならない」と非難した。
5日、ロイター通信によると、バイデン米大統領はボストン地域の大統領選挙募金行事に出席し、「ハマスのテロリストたちが女性と少女に可能な限り苦痛を与えた後、殺害したという報道がある。恐ろしいことだ」としたうえで、「世界は今起きていることに背を向けることはできない」と述べた。
バイデン大統領は「国際機関、市民社会、個人、例外なく私たち皆が強く明確にハマスのテロリストたちの性暴力を糾弾しなければならない」と強調した。また、「ハマスが残った人質のうち若い女性たちの釈放を拒否し、人質交渉が決裂したことを確実に指摘しなければならない」と語った。
前日の4日には、米ニューヨークの国連本部で、ハマスの性犯罪を知らせる行事が開催され、約40カ国の外交官と女性活動家約800人が参加した。同行事の主要主催者であるギラード・エルダン国連駐在イスラエル大使とメタのシュリル・サンドバーグ元役員が講演を行い、イスラエル警察が捜査してきたハマスの性犯罪に対する証拠を公開した。
イスラエル警察は被害者のほとんどが命を失った状況で、目撃者や医療スタッフ、軍人、救急隊員などの証言を収集し、写真と映像、解剖結果などをもとに捜査を進めている。イスラエルの女性人権活動家で弁護士のルース・ハルペリン・カダリ博士は4日、英BBCに「10月7日、ハマスの性犯罪が様々な場所で集中的に行われた」とし、「性犯罪を戦争の武器にしようと計画した」と述べた。
また、イスラエルのメイ・ゴラン女性地位向上相は5日、BBCとのインタビューで、「被害者数人が攻撃から生き延びており、現在全員が精神医学科の治療を受けている」とし、「ただ非常に少数だ。大半は残虐に殺害された」と述べた。BBCは同日、ハマスの奇襲攻撃当時に死亡した遺体を収拾する作業に参加した人々の証言を報道し「性犯罪被害者は児童や青少年から老人までいた」と報じた。
国連女性機関は1日、声明を出し「10月7日に発生したハマスの性別に基づいた残虐行為と性暴力に対する数多くの記録に驚愕を禁じ得ない。すべての記録を正式に調査し、(犯罪者を)起訴することを求める」と明らかにした。
アントニオ・グテーレス国連事務総長も先月30日、ソーシャルメディアX(旧ツイッター)への投稿で、「10月7日、ハマスが犯した恐ろしいテロ行為の中で性暴力に対する数多くの証言があり、これを積極的に調査し起訴しなければならない」と述べた。国連調査委員会も、ハマスが10月7日に行ったとされる性犯罪を調査している。
一方、ハマスは隊員たちの性犯罪疑惑を否定している。ハマスはテレグラムのチャンネルに載せた声明で「バイデンが戦闘員たちを偽りで非難しようとしている」と批判した。