イランの支援を受けるイエメンの反政府勢力フーシ派が紅海南部でイスラエルと関連があるとみられる貨物船を拿捕し、中東の緊張感が高まっている。イスラエルは自国の船ではないとし、船舶拿捕は国際法違反だと批判した。
19日の「アルジャジーラ」の報道によると、フーシ派は声明を発表し「イスラエルの船を紅海南部で掌握した」と明らかにした。フーシ派のヤヒヤ・サリー報道官は同日の声明で、「イスラエルの所有あるいはイスラエルを支持する者が所有する船は、フーシ派の合法的標的になる」とし、「我々はガザ地区とヨルダン川西岸地区への侵略とパレスチナ同胞に対する醜悪な犯罪に終止符が打たれるまで、イスラエルへの作戦を続ける」と警告した。
アルジャジーラによると、「ギャラクシー・リーダー」という名前のこの貨物船は、トルコからインドの間を運行し、英国企業の所有であり、運営は日本企業が担当している。ただし、この船の一部の持分をイスラエルの企業家が所有していることが分かった。AP通信は、この船の所有者はイスラエルの大富豪の一人と関連していると伝えた。
フーシ派は先月7日に勃発したイスラエル・ハマス戦争以降、イスラエルに対してドローンとミサイルによる攻撃を断続的に行ってきた。先月31日、「パレスチナを支援するためにイスラエルへの攻撃を継続する」とし、戦争介入を公に宣言した。今月14日にはイスラエル船籍の船を攻撃するための作戦を開始したとも明らかにした。
しかしイスラエル首相室は、この船はイスラエル企業の所有ではなく、イスラエル企業が運営しておらず、イスラエル人船員が乗っているわけでもないと明らかにした。イスラエル首相室はこの船に乗っている25人の船員はウクライナ、メキシコ、フィリピン、ブルガリア人などだと明らかにした。また、首相室は声明で「国際海洋安全保障に影響を及ぼしうる世界的水準の非常に深刻な事件」だとし「これはイランによるもう一つのテロ行為であり、世界市民に対するイランの好戦性が拡大していることを示している」と述べた。
米国家安全保障会議(NSC)は報道官の声明を通じて「フーシ派が紅海でギャラクシー・リーダー号を拿捕したことは、明確な国際法違反」だとし、「船舶と船員の即時解放を要求し、適切な次の段階のために国連のパートナーと協議する」と明らかにした。
イスラエルとハマスの戦争により中東の緊張が高まる中で、今回の事件をきっかけに紅海にまで紛争が拡大する恐れがあるという懸念が出ている。AP通信は「イスラエルとハマスの戦争で高まった中東地域の緊張が、新たな海上戦線に広がる恐れがあるという懸念が伝えられている」と報じた。
一方、フーシ派は内戦中のイエメン内で立場を強化するためにこのような攻撃を行っている、との分析もある。ワシントンにある「アラブ湾岸諸国研究所」のイエメン専門家、グレゴリー・ジョンソン氏は「フーシ派はイスラエルとハマス間の戦争を、国内の批判を抑える機会としてみている」と述べた。