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野外労働による皮膚がん死亡者、20年間で88%増加…死者数の多い国は

登録:2023-11-09 19:28 修正:2023-11-10 10:28
WHO・ILO初の共同研究発表…中国だけでも年間5107人が死亡
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 職業性皮膚がんに挙げられる非黒色腫皮膚がんの死亡者の約3分の1が、野外で紫外線にさらされた労働者であり、このようながんで死亡した人が20年間で88%も増えたという研究結果が出た。

 世界保健機関(WHO)と国際労働機関(ILO)は8日(現地時間)、学術誌「国際環境」に載せた共同研究論文で、2019年世界183カ国で野外労働によって非黒色腫皮膚がんにかかり死亡した人は1万8960人と分析されたと明らかにした。これは2000年の死亡者1万88人より88%多い数値で、非黒色腫皮膚がん死亡者全体(6万5440人)の29%だ。死亡した労働者全体の65%は男性だった。

 このような分析結果は、紫外線が代表的な発がん物質である石綿(アスベスト)、ガラスやコンクリートの主成分であるケイ素に次ぐ3大職業性発がん要因であることを示すと、米CNN放送が指摘した。

 非黒色腫皮膚がんは、肌の色を決定するメラニン細胞が悪性化して生じる悪性黒色腫ではない皮膚がんであり、環境や職業のために発生すると知られている。

 紫外線露出による皮膚がん死亡者は、地域別には西太平洋地域(2019年6337人)で最も多いことが分かった。論文は中国だけで5107人の死亡者が発生したと分析した。韓国(87人)と日本(351人)は、これより死亡者がはるかに少なかった。南・北アメリカ(3181人)、東南アジア(2861人)、アフリカ(2837人)、ヨーロッパ(2186人)でも年間2~3千人の死者が発生し、地中海東部地域は1558人で死者が最も少なかった。

インドのコルカタで労働者が廃電子製品を回収している=コルカタ/EPA・聯合ニュース

 論文は、野外で紫外線にさらされた状態で仕事をする15歳以上の労働者は世界で16億人に達し、これは労働人口全体の28%に当たると指摘した。地域別ではスーダン、タンザニアなど東部アフリカとアルジェリア、マリなど西部アフリカ、ミャンマーなどを中心とした東南アジアで特に紫外線露出労働者の比重が高かった。紫外線露出後から皮膚がん発病までは相当な期間がかかるため、現在の野外労働傾向が続く場合には職業性皮膚がんも増え続けるとみられる。

 今回の研究を率いたWHOの疫学者フランク・ペガ氏は「世界規模で職業と関連した皮膚がんの発生を分析したのは今回が初めて」とし、分析の結果、この問題が本当に深刻であることが確認されたと述べた。特にアフリカなど中・低所得国の職業性皮膚がん死亡者が当初の予想よりはるかに多かったとし、「皮膚がんが普通は(欧州、米国のような)北半球の裕福な国で多いという点で、これは驚くべき事実」と指摘した。中・低所得国家の職業性皮膚がん発生が予想より多い理由としては、リサイクルゴミ収集などのような非公式部門で仕事をする労働者が多いためと分析された。

 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長は「有害な紫外線露出を防ぐ効果的な解決策はある」とし、各国に紫外線露出のリスクに対する積極的対応を促した。労働者の皮膚がんを予防する方法としては、野外で仕事をする労働者に紫外線遮断帽や長袖の服などを提供するよう義務付け、日光が最も強い昼時間の野外労働を減らす方法などが提示された。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1115590.html韓国語原文入力:2023-11-09 14:17
訳J.S

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