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岸田首相、食事の途中で中国首相訪ね「輸入停止の解除」を要請

登録:2023-09-08 06:29 修正:2023-09-08 07:11
中日、ASEAN+3首脳会議で汚染水めぐる神経戦…韓国は沈黙
日本の岸田文雄首相(中央)が6日、インドネシアのジャカルタで開かれた「ASEAN-日本」首脳会議に出席し、演説している/ロイター・聯合ニュース

 6日午後、インドネシアのジャカルタで韓中日が出席する「東南アジア諸国連合(ASEAN)+3」首脳会議が始まる直前、日本の岸田文雄首相が別の場所で弁当を食べている途中、急いで席を立った。中国の李強首相が会議に出席するため、控え室に入ったからだ。両首脳は控え室で10~15分程度立ち話をした。

 岸田首相が李首相の「袖をつかんだ」のは、先月24日、福島第一原発汚染水の海洋放出直後に始まった中国の日本産水産物全面輸入停止措置のためだった。岸田首相はこれを中止するよう要請した。

 日本のメディアは、日本政府は当初会談を進めたが、状況が思わしくなく現場で立ち話に切り替えたと報じた。岸田首相は取材陣に「私から(李首相に)声をかけたと言っても間違いではない」と述べた。

 中国政府もこれを予想していたという。両首脳は予め外交当局が組んだ「プラン」通りに動いたわけだ。

 「探索戦」を終えた両国は、「ASEAN+3」首脳会議でこの問題をめぐり再び神経戦を繰り広げた。開会の辞に続きASEAN、韓国、日本、中国の順で発言が続いた。

 岸田首相は汚染水の海洋放出と関連し、「国際原子力機関(IAEA)の報告書でも人や環境に対する放射性物質の影響は無視できる程度」という主張を繰り返した。さらに中国を名指しし「日本産水産物の輸入を全面的に一時停止するなど突出した行動をとっている」とし、「科学的根拠に基づく行動や正確な情報発信を求めていく」と強調した。

 日本政府は当初、中国の輸入停止措置を「経済的威圧に当たる」として、強く非難する案も検討したが、最終的には慎重な対応を取る方針を固めたという。

 読売新聞は「会議に参加したASEAN各国や韓国は日本政府の立場に一定の理解を示している。中国とののしり合うような泥仕合を避け、大人の対応をした方が(他国の)支持を得やすいと判断した」と強調した。

 李首相も予想通り、汚染水の海洋放出を強い口調で批判した。李首相は「核汚染水の放出は地球規模の海洋環境と人々の健康に影響する。日本は国際的義務を誠実に履行し、近隣諸国および関係者と十分に協議しなければならない」と主張した。

中国の李強首相が6日、インドネシアのジャカルタで開かれた「ASEAN-中国」首脳会議で演説している/AFP・聯合ニュース

 日本政府は汚染水放出以降初めて行われた同日の接触で、中国がどのような反応を見せるかが今後の中日関係を予測できる試金石になるとみている。

 日本は李首相が対日「批判的なトーンは抑えた」という内部評価を下したという。日本外務省関係者は読売新聞に「批判のトーンは想像の域を出なかった。中国側は振り上げた拳をおろすタイミングを見計らっている」と述べた。

 李首相は「中国-ASEAN」の首脳会議でも汚染水放出について問題提起をしなかったという。韓中外相は31日の電話会談で、「韓中日3カ国政府間協議体の早期再稼働に向けて緊密に協力する」ことで合意した。

 中国が「組織的後退」の準備に入った最も大きな理由は、韓国の動向のためとみられる。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は同日、予想通り汚染水の海洋放出について特に言及しなかった。日本は、韓国が汚染水の放出を事実上容認したことで、この問題に対して強硬対応を貫いている中国を外交的に孤立させたとみている。

 米国も日本を後押しした。米国務省のベダント・パテル副報道官は5日(現地時間)、日本産水産物の輸入禁止を中国の経済的強圧とみるかという質問に「日本の(汚染水放出)手続きは国際基準に合致する」と答えた。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1107574.html韓国語原文入力:2023-09-08 02:41
訳H.J

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