日本政府が安倍晋三元首相の死亡で浮き彫りになった世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題と関連し、10月中旬ごろ解散命令を裁判所に請求する案を進めているという。これまで日本で宗教法人が解散させられたのは、東京地下鉄駅サリンガステロを行ったオウム真理教と詐欺事件を起こした明覚寺の2例のみ。
朝日新聞は3日、日本政府関係者の話として「高額献金被害を訴える元信者らへの聞き取り内容のほか、過去に教団側に賠償を命じた民事訴訟の判決、質問権行使に対して教団が提出した資料などから、解散命令が必要だと判断」したとし、「10月中旬にも教団への解散命令を東京地裁に請求する方向で調整に入った」と報じた。同紙はさらに「岸田文雄首相は、請求に踏み切ることで政権として教団側と決別する姿勢を示したい考えだ」と付け加えた。
安倍元首相が昨年7月の選挙遊説中に銃撃で死亡し、犯行の動機が旧統一教会の過度な献金強要問題と関連していることが明らかになったことで、大きな社会的波紋を広げた。日本の国会議員の中で旧統一教会との関係を認めた議員が100人を超えるなど「政界との癒着」が暴露され、岸田首相の支持率が一時20%台まで落ち込んだ。
このような状況を受け、岸田首相は昨年10月、永岡桂子文部科学相に「宗教法人法」を根拠に統一教に対する調査(質問権)の行使を指示した。1996年に関連法が改正されて以来、質問権が適用されたのは旧統一教会が初めて。
文部科学省は昨年11月から今年7月まで7回にわたって、組織運営や財産▽教団側の法的責任を認めた民事判決▽教団本部のある韓国への送金▽信者布教活動の実態▽教団の管理運営などと関連し、旧統一教会側に報告を求めた。しかし、旧統一教会側は誠実に資料を提出しなかったという。文部科学省幹部は読売新聞に「宗教の自由などを理由に答弁自体を拒否する場合があり、調査が難航している」と語った。日本政府は「資料提出の拒否」などの理由で旧統一教会に対して過料を科す案を検討している。
旧統一教会の解散命令請求に向けた手続きも進められている。文部科学省は過料を科す問題が終われば、宗教法人審議会を開き、解散命令請求問題を議論する予定だ。朝日新聞は「過去に教団側に賠償を命じた民事訴訟の判決、質問権行使に対して教団が提出した資料などから、解散命令が必要だと判断。これらを主な証拠として、教団活動の『悪質性、組織性、継続性』を立証でき、命令の要件を満たすとの結論に至った」と強調した。
日本政府は宗教法人法に基づき、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為などがあると認めた場合、所管庁が裁判所に解散命令を請求できる。裁判所は非公開審理を開き、文部科学省と教団の両方の主張を聞いて判断する。一般裁判同様、3審制で最高裁まで争うことができる。読売新聞は「政府として教団側に厳しく臨む姿勢を示したい考えだが、教団側の反発も予想され、事態打開につながるかは不透明だ」と報じた。
これまで日本で宗教法人が解散したケースはオウム真理教と明覚寺の2例のみで、確定判決までそれぞれ7カ月、3年程度かかった。裁判所が解散命令の決定を下せば、税制優遇を受けられる宗教法人の資格が剥奪される。ただし、宗教の自由があるため、宗教団体活動を制限されるわけではない。