米国が世界100カ国以上が使用を禁止したクラスター爆弾をウクライナに供与する方針を決めたことについて、英国やスペイン、カナダなど一部の西側同盟国が反対を表明している。
AFP通信によると、英国のリシ・スナク首相は8日(現地時間)、「英国はクラスター爆弾の生産と使用を禁止する『クラスター爆弾禁止条約』(CCM)に加盟している」として、反対の立場を明らかにした。スナク首相は「我々はロシアの不法侵略に対抗してウクライナを支援し続けるが、その役割は重武装戦車と長距離兵器を供与すること」だと述べた。
スペインのマルガリータ・ロブレス国防相も「クラスター爆弾のような特定の兵器をウクライナに送ってはならないという『強力な公約』を守る」とし、「ウクライナの適法な防衛には支持を送るが、クラスター爆弾は容認できない」と述べた。カナダ政府は声明を発表し、「クラスター爆弾が長期間爆発せずに地面に埋められ、後で子どもたちに被害を与える潜在的な危険性について特に懸念している」とし、クラスター爆弾の使用に対する反対を表明した。ドイツ政府のシュテフェン・ヘベシュトライト報道官は声明を出し、クラスター爆弾禁止条約の加盟国として、ドイツはクラスター爆弾をウクライナに供与しない方針だが、米国の決定は理解すると述べた。
クラスター爆弾は一つの爆弾の中に多くの小型爆弾の「子弾」が入っているもの。発射後、目標物に到達すれば、爆弾の中にあった多くの子弾が広い地域で爆発し、多くの人命被害をもたらす。特定の軍事目標を狙って打撃するのではなく、無差別殺傷につながるため、非道徳的だという批判を受けている。子弾の多くは不発弾として残り、戦争が終わってからも民間人、特に子どもたちの生命を脅かす。2010年にクラスター爆弾の生産と使用、販売、保管を禁止する国際条約「CCM」が発効した。現在111カ月が加盟しており、12カ国は署名済み。米国やロシア、ウクライナは加盟しておらず、韓国と北朝鮮も軍事的対峙状況を理由に条約への署名を拒否している。
これに先立ち、米国のジョー・バイデン米大統領は7日、CNNとのインタビューで、長い間悩んだが、ウクライナ軍の砲弾が尽きかけているため、クラスター爆弾の供与を決めたとして、このような事実を同盟国にも通知したと述べた。バイデン大統領はこの決定をめぐる論議を意識したかのように、「過渡期の期間中、十分な砲弾を生産するまで、ウクライナにクラスター爆弾を供与することにした」とも述べた。また、米国防総省のコリン・カール政策次官は、米国が提供するクラスター爆弾の不発率は2.35%に止まるとし、不発率が30~40%に達するロシア軍のクラスター弾に比べてはるかに安全だとも主張した。ウクライナ国防省はクラスター弾が供与された場合、市街地など民間人居住地域では使用せず、戦線でロシア軍の防御網を突破する時だけの使用を約束したと強調した。ロシア外務省のマリヤ・ザハロワ報道官は8日、「(ウクライナに対する米国の)クラスター爆弾の供与は、ウクライナの反撃作戦の失敗を背景にした絶望のジェスチャーであり、無力さの証拠だ」として米国を非難した。ウクライナに昨年侵攻したロシアは、クラスター爆弾をすでに使用している。米国人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は6日、ロシアはもちろんウクライナも戦場でクラスター爆弾を使用し民間人の被害を誘発しているとし、両国にクラスター爆弾の使用を即刻中止するよう求めた。
北西洋条約機構(NATO)は、クラスター弾条約に対するNATOレベルの公式立場はないと明らかにした。イェンス・ストルテンベルグ事務局長は声明を発表し「NATOにはクラスター爆弾禁止条約に署名した加盟国も、署名していない加盟国もあるため、決まった立場はない」とし、「ウクライナに兵器を供与する問題は個別の同盟国の決める事案」だと述べた。