チョ・ウンソク特別検察官(特検)は内乱疑惑で拘束起訴された尹錫悦(ユン・ソクヨル)、キム・ヨンヒョン、ヨ・インヒョン被告を刑法上の外患罪である一般利敵容疑などで10日に追起訴した。尹錫悦一味は非常戒厳の口実を作るために、平壌(ピョンヤン)への無人機浸透などで南北の軍事的緊張を高めようとしたというのが特検の判断だ。まだ裁判所の判決が残っているが、特検の捜査の結果はそれ自体で衝撃的だ。もし北朝鮮が対応していたら、莫大な人命被害を伴う局地戦は避けられなかっただろう。自分の政治的野望のために国民の命まで無視する破廉恥な者に国政を任せたことが惨憺たるばかりだ。
特検が確保したヨ・インヒョン前防諜司令官の携帯電話に保存されたメモには、朝鮮半島を戦争に追い込む内容が書かれていた。昨年10月18日と23日、11月15日に作成されたメモは「(北朝鮮の)面目をつぶし、必ず対応せざるを得ないターゲティング」、「平壌(ピョンヤン)、核施設2カ所、三池淵(サムジヨン)など偶像化の本拠地、金正恩(キム・ジョンウン)の休養所(別荘)」、「最終状態は低強度のドローン紛争の日常化」、「不安定な状況で短期間に効果を得る千載一遇のチャンスを見つけて攻略しなければならない」など、衝撃的な内容だ。メモに登場する目標物は、昨年10〜11月に尹錫悦が北朝鮮に浸透させた無人機の実際の航跡に近い。この無人機が北朝鮮軍に簡単に見つかるように(低高度で)飛行した理由もこれで説明がつく。北朝鮮が「面目がつぶされた」と判断し、軍事的対応をした場合、軍事会談を提案する案まで計画されていた。
このメモは先立って公開された「ノ・サンウォン手帳」に登場する内容と一部一致する。ノ・サンウォン元情報司令官の手帳にも「北方限界線で北朝鮮の攻撃を誘導」など北朝鮮の軍事行動を誘発する趣旨の内容が登場する。「汝矣島(ヨイド=国会のこと)30~50人」、「マスコミ100~200人」、「御用判事」など500人余りを「回収」し、「兵舎内の寝床に爆発物使用」、「飲食物、給水、化学薬品」、船舶に載せて「適切な所で爆破」など、おぞましい内容も決して荒唐無稽な妄想ではない可能性が高い。
尹錫悦は、共に民主党など当時の野党の「国政への非協力」のために戒厳を決意することになったと主張している。外患罪の追起訴はこの主張も言い訳にすぎないことを示している。特検の捜査の結果、尹錫悦一味は野党の国政協力の如何とは関係なく、非常戒厳を着実に準備してきたことが明らかになった。ひたすら自分の安危のために、国民の命と国家の安危を投げ捨てたのだ。司法府は厳正な判決で国民を裏切った行為を断罪しなければならない。