ロシアが3月に予告した通り、ベラルーシに「戦術核」の配備を始めたこと受け、同国と隣り合っているポーランドが北大西洋条約機構(NATO)の「核共有プログラム」に参加したいという意向を明らかにした。北朝鮮の核による脅威が高まってから、韓国で時々展開されてきた「戦術核の再配備」と同じ主張がポーランドから出たことで、どのように結論が下されるかに関心が集まっている。
ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相は先月30日(現地時間)、欧州連合(EU)首脳会議が開かれたベルギーのブリュッセルでの記者会見で、「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が様々な方法で脅威を高めている状況を、手をこまぬいて見ているわけにはいかない」とし、「ロシアがベラルーシに戦術核を配備しようとしており、我々は全NATO加盟国に核共有プログラムへの参加をより強く要求している」と述べた。ポーランドの現地メディア「ファーストニュース」もこれについて報道し、アンジェイ・ドゥダ大統領が昨年9月、メディアとのインタビューで「ポーランドがNATO核共有プログラムに参加できる可能性について米国と協議してきた」と明らかにしたことを取り上げた。
プーチン大統領はウクライナ戦争が始まって1年が経った3月25日、ロシア国営テレビ「ロシア24」とのインタビューで、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の要請によりベラルーシへの戦術核の前進配備を検討していると明らかにした。さらに先月16日、初の核弾頭がベラルーシにすでに配備された事実を公開した。ルカシェンコ大統領も先月23日、「すでにかなりの核弾頭が領内に入ってきている」と述べた。ロシアの核による脅威が高まっている中、ポーランドが「我々にも米国の戦術核を配備してほしい」と強く要求してきた模様だ。米国は、北朝鮮の核による脅威で「独自核武装論」が韓国で本格的に浮上したこと受け、今年4月末「ワシントン宣言」を通じて韓米間で核戦略を企画・討議できる「核協議グループ」(NCG)を設けることにした。
ポーランドが参加を望んでいるNATOの核共有は、欧州の同盟国の領土に米国の戦術核を配備し▽「核計画グループ」(NPG)を作って核政策について協議し▽彼らの戦闘機を核の「運搬手段」として使用することを3本柱としている。現在参加中の国は、欧州で直接核を保有していない主要国であるドイツ、イタリア、オランダ、ベルギーとNATO加盟国であるトルコの5カ国だ。モラウィエツキ首相は「決断はもちろん米国とNATOのパートナーたちが下すことだが、迅速な行動を望んでいる」と述べた。
米国はひとまず慎重な反応を示した。米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は先月30日の記者会見で、これと関連し「話すことがない」としながらも、「ロシアがウクライナ危機で核を使う意図があるとは思わない」と述べた。
一方、ロシアは敏感な反応を示した。セルゲイ・リャブコフ外務次官は1日、国営「タス通信」とのインタビューで、ベラルーシへの戦術核の配備は「核拡散防止条約(NPT)など国際的な義務の枠を超えて行われるわけではない」とし、「ロシアの核兵器に対する統制権が(ベラルーシに)移転されるわけではない点を改めて強調したい」と述べた。さらに「米国こそロシアを攻撃できるよう自国領土から数千キロも離れたところに核兵器を配備してきた」と批判した。ロシア国家安全保障会議のドミトリー・メドベージェフ副議長も同通信とのインタビューで、「ポーランドに核を配備してほしいという要求が呼び起こしうる唯一の危険は、その兵器が実際に使用される可能性があること」だと警告した。