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欧州、「ウクライナのNATO加盟」めぐる隔たり埋まらず…安全保障はいかに

登録:2023-06-03 06:44 修正:2023-06-03 08:00
アントニー・ブリンケン米国務長官(左)とイェンス・ストルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長が1日(現地時間)、NATO外相会議が開かれたノルウェーのオスロ市役所で記者会見を行っている/AP・聯合ニュース

 来月の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議を控え、ウクライナのNATO加盟と安全保障問題をめぐる加盟国間の意見の相違が浮き彫りになっている。

 NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は1日(現地時間)、ノルウェーのオスロで開かれたNATO外相会議で「我々は歴史が繰り返されないよう、ウクライナに対するロシアの侵略を実質的に止めなければならない」とし、「戦争が終わった後、ウクライナの安全を保障できる枠組みを作る必要がある」と述べた。同日、NATO加盟国の外相らは、ウクライナのNATO加盟とウクライナの安全保障案問題を集中的に取り上げた。ストルテンベルグ事務総長は「適切な時期にウクライナがNATO加盟国になることに全同盟国が同意している」と述べた。しかし、NATO加盟国はウクライナのNATO加盟を認めるか否か、また認めるならNATO加盟前までいかに安全を保障するかについて、まだ意見の隔たりを埋められずにいる。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は同日、モルドバで開かれた「欧州政治共同体(EPC)」の首脳会議で、「NATOは今年ウクライナのNATO加盟の可否を決めなければならない」と述べた。同会議には欧州連合(EU)加盟国をはじめ非加盟国まで、ロシア、ベラルーシ、トルコを除く47カ国の指導者が出席した。ゼレンスキー大統領は「今年は決断の年」だとし、「今夏、リトアニアのビルニュスで開かれる首脳会議で、ウクライナのNATO加盟に向けた加盟国の明確な招待とNATO加盟国になる過程における安全保障が必要だ」と強調した。昨年9月、ウクライナはNATOに加盟申請書を提出した。

 ポーランドやバルト海諸国など東欧のNATO加盟国は、このような構想に概ね同意している。英国のリシ・スナク首相も同日、米国の「CNBC」でのインタビューで「ウクライナがいるべき場所はNATO」だとし、支持する立場を示した。米紙ニューヨーク・タイムズの報道によると、アナス・フォー・ラスムセン元NATO事務総長は1日、NATO指導者たちが「ウクライナの加盟に対する明確な計画を示さなければならない」とし、「ウクライナが自らを防衛できるよう、拘束力があり開放的で拡張可能な安全保障を後押しすべきだ」と述べた。ラスムセン元事務総長はまた、「これには兵器供与や軍事訓練、情報共有、ウクライナの防衛産業に対する持続的な投資などが必要であり、このような安全保障がウクライナのNATO加盟の代案になってはならない」と強調した。

 しかし、米国は慎重な態度を崩していない。アントニー・ブリンケン米国務長官は同日、NATO外相会議後の記者会見で、ウクライナのNATO加盟について明確な言及を避けた。その代わり、NATOとウクライナの政治的、軍事的関係を強化する必要性に触れることにとどまった。

 NATO加盟国だがロシアと密接なかかわりを持つハンガリーは、来月の首脳会議でウクライナの加盟問題を議題にしてはならないという立場を示している。ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外相はフェイスブックへの書き込みで「戦争中の国のNATO加盟問題は(首脳会議の)議題になりえない」と主張した。NATOが新しい同盟国を受け入れるためには、既存の加盟国が満場一致で同意しなければならない。現在、NATOの公式招待を受けたスウェーデンでさえ、トルコとハンガリー政府の反対で加盟が遅れている。

 NATOがウクライナの加盟について来月の首脳会議で明確な態度を示すことは難しいものとみられる。ただし、加盟国がそれまで隔たりを埋め、ウクライナに対する安全保障計画を明らかにする可能性は残っている。先月、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領はウクライナに「イスラエル式の安全保障モデル」を適用する議論が同盟国の間で行われていると述べた。例えば、米国など一部の国家がウクライナと安全保障協定を結び、兵器と先端技術を優先的に供与するという内容だ。

ベルリン/ノ・ジウォン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1094429.html韓国語原文入力:2023-06-02 16:39
訳H.J

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