中国政府は先端半導体装備の輸出規制強化方針を発表した日本政府に対し、報復措置に乗り出す可能性を示唆した。中国を狙った米国の半導体サプライチェーンの再編が、中日の新たな対立に広がる格好だ。
中国商務部は4日夜、記者団の質問に対する報道官の答弁の形で発表した立場表明文で、「日本側が中日半導体産業協力を執拗かつ人為的に妨げた場合、中国側は果敢な措置を取って我々の合法的権益を決然と守る」と明らかにした。さらに「日本が取った措置は、本質的に個別国の脅迫のもと中国に害を加えた行為」だとし、「是正」を求めた。3日には中国外交部の毛寧報道官も記者会見で、日本に対し「中国の利益が著しく損なわれた場合は、中国は座視せず断固として対応する」と強調した。
中国が「報復措置」を示唆するなど、日本を強く非難しているのは、日本政府が米国と歩調を合わせて先端半導体装備に対する対中国輸出を制限すると発表したためだ。日本経済産業省は、林芳正外相が中国を訪問する直前の先月31日の閣議で、先端半導体製造に必要な主な装備23品目について、輸出規制を強化することを決めた。
輸出規制施行令が7月から施行されれば、友好国など42カ国と地域を除き、品目ごとに輸出のたびに個別の許可が必要となる。輸出規制対象に中国など特定の国家を明示したわけではないが、実質中国を狙った措置だ。米国は昨年10月、先端半導体技術と装備などの対中国輸出を事実上禁止し、主なメーカーのある日本とオランダにも参加を求めてきた。
今年の夏ごろにはオランダも輸出規制に乗り出す予定であり、中国がこれをけん制するために日本に対する警告に出たものとみられる。中国は、米国が2019年以後制裁を強化したことで先端半導体の調達に困難をきたしている。通信装備大手の「華為技術」(ファーウェイ)が「5G」の携帯電話を発売できない状態であり、昨年破産・廃業した中国の半導体関連企業は、前年より68%増加した約5700社にのぼる。世界の先端半導体装備市場を率いる日本とオランダまで規制に加われれば、中国にとっては相当な打撃となる。
日本は中国を特定したわけではないという立場を明らかにした。松野博一官房長官は4日の記者会見で、「中国側の反応は承知しているが、今回の措置は国際的平和と安全を維持するという観点から厳格な輸出管理を行っている。特定の国を対象としたものではない」と述べた。しかし読売新聞は「中国の反発が強まっている。 もし中国側が報復措置を取れば東京エレクトロンなど半導体製造装置業界の打撃は避けられない」と懸念を示した。
米国や日本など主要7カ国(G7)は、中国とロシアを念頭に置いて特定の国が経済的報復に乗り出した場合、共同で対抗する措置が必要であるということで意見が一致した。主要7カ国は4日、オンラインで経済長官会合を開き、共同声明で「経済的威圧に伴う一方的な現象変更の試みは、いかなるものでも強く反対する」とし、「これに対抗するために既存の手段を活用し、必要に応じて新たな手段を開発する」と明らかにした。同会合に出席した西村康稔経済産業相は「経済的威圧に集団で対処して被害を緩和するために共同対応を検討することにした」と述べた。